19:予定外の出来事


予定が狂うのはよくあることで、それに対処する術も職業柄人並み以上に心得ているつもりだ。
しかし、正直言って対処しやすい事とそうでない事があるのは確かだ。
確実に後者に属するのは、彼の場合、妹に関する全てである。

「予定外」と感じることがすでに過保護過干渉の証左、との指摘にはとりあえず立ち止まる。
そうしてまた思う。きっと、そんなことを思う奴には、可愛い妹がいないのだと。

時に守り、時に叱責し、時に共同戦線を張り。
彼と妹の間はそのように推移してきたと思う。
遠く離ればなれになってしまった現在でさえ。


母から連絡があったとき、嫌な予感がした。
「よくわからないんだけれど、あの子が帰ってくるの」
あわてて手帳を見る。やはり学校の春期休暇には、早すぎる。

――何かあったか。

想像はあらゆる方向を巡り、悲しみにうちひしがれる妹の図が頭を占めはじめる。
自分で考え出した構図に自分で大いにダメージを受けつつ、ふと気がついた。

もし、何かあっての帰国なら、自分と彼女の共同戦線はどうなるのだ。
そもそも向こうは、自分と共同戦線を張ってしまっていることを自覚してくれているのだろうか?
彼女のためにつきたくもない嘘をつかされている自分のことを。

たぶん、ダメだ。

軽いめまいを覚えつつ、手帳を繰る。
もう一人の共犯者と連絡を取るために。そう、彼女の親友、ジュリアに。
そしてこの予定外の出来事に対処する善後策を講じるのだ。
たぶんもっと予想外の何かによってそれが水泡に帰す事をうっすらと予感しつつ。


    

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