05:雨
割り切ったおつきあい、なんて言葉を持ち出したのはどちらだったか。
確かにそれは二人の関係を表現するのにぴったりな言葉だったのだけれど、逆にその言葉が二人を縛っていたのかも知れないと今になって思う。
高校時代の恋愛なんて、所詮予行演習かつなぎにすぎない、とさらりと言ってのけた君。なのに手のひらを返すように、でもものすごく九条君が好きなの、と熱っぽい瞳をこちらに向ける。
どう割り切ればいいのか、本当は解らなかったんだ。
雨が降ったらデートは中止。
それがいつの間にかできていた二人のルール。
「九条君みたいに運動する人は体を冷やしてはいけないし、私も正直言って面倒だし。」
きっとクールな二人の関係が格好いいと二人思いこもうとしていたんだ。
泣き出しそうな空、今日もまもなく雨が降り始めるだろう。
それでも、逢いたい、と言ってはいけないのか?
それは踏み越えてはいけない一線なのか?
ひとめ逢いたい。
―もっともらしい理由ひとつひねり出せないまま、俺は君に短いメールを送る。
雨が降らないように祈りながら。