物書きさんに20のお題・黄
17:「朗読」
「はい次」
教師の声が聞こえてから、たっぷり3分。
リーダーの時間、廊下から3列目が前から順にテキストを読み上げていた。芦屋は4人目。
ちょうど詩が引用されている箇所だ。
よどみなくリズミカルに朗読されるそれは、テキストを目で追っていたときには気づかなかったリズムと押韻が際立つ。
ああ、上手いもんだな。
声もいつも話すときよりも少し低めで、安定した発声は教室に朗々と響く。
メニューを読み上げて周囲を感涙させた舞台俳優もこんな風だったのだろうか?
「あの、どこまで読むんですか?」
セクションの終わりまで到達した芦屋が困惑気味に教師に問うた。
「ああすまんすまん。確か芦屋くんは向こうで生まれ育ったんだったね。さすがだ。うっかり聞き惚れてしまったよ」
と教師が頭を掻きながら言い、芦屋瑞稀オンステージは幕を閉じたのだった。