物書きさんに20のお題・黄

02:「サンダル


足もとを見ている。
なんかこのフレーズには別の意味があった気がするけれど、そっちじゃなくて、外で水まきをしている佐野の足。
珍しくサンダルを履いている。
スパイクに包まれている時とも、学校や寮でスニーカーでいる時とも、裸足で部屋の中を歩いている時とも、なんか違う。
ああ、そうだ、微妙に歩き方が違うんだ。
時々足の動きにサンダルがついて行けなくて、一瞬遅れるような、あの感じ。
サンダルは足に一生懸命ついていって、足もほんの少しサンダルに調子を合わせざるを得なくて。
足がサンダルのこと迷惑がっていないといいんだけれど。

突然佐野が不思議そうにこちらを見る。あたしは慌ててその場をつくろう。
「足、虫に刺されない?」
「…実は手遅れ」
「伊緒さんに薬もらっとく」
「助かる」
窓から離れて奥に駆け出し、心の中で今見ていた光景を反芻する。
本当にあの人の全部が好きなんだなって自分であらためて感心しながら。

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