第九席


オリヴィエ 「(リュートをかき鳴らしつつ)ハーイ☆どーも〜」
オスカー 「(手袋をしてのこぎりをクルクル回しながら)待たせたな、お嬢ちゃんたち」
リュミエール 「ようこそ皆様。私どもの芸が少しでもお役に立てればうれしゅうございます(と、竪琴をポロロン♪)」
オリヴィエ 「オスカーったらすっかり”のこぎりスト”らしくなってるじゃないのさ」
リュミエール 「見た目はそのようですが、肝心の腕の方はどうでしょうか?」
オスカー 「この俺を誰だと思ってるんだ? 俺の心は今コイツのことで一杯なんだ。今日はたっぷりと俺ののこぎり芸を見せつけてやろうじゃないか」
オリヴィエ 「そりゃ楽しみだねぇ。で、どんな芸?」
オスカー 「決まってるだろ。モテる男の愛のチュートリアルって奴さ」
リュミエール 「のこぎりを持っている時点で既に意味がないような気がしますが…」
オスカー 「これくらいのハンディがあってちょうどいいのさ。オリヴィエ、何ボサッとしているんだ。さっさと女の役をやるんだよ!」
オリヴィエ 「私がかい!? 人使いの荒い奴だねえ。じゃあ手近なところで婦警にでも扮しようかねぇ」
オスカー 「OK。得意分野だ、まかしておけ(と、イスにすわり、のこぎりを膝の間に挟んで叩く準備をする)」
オリヴィエ 「ちょっとあんた。ここは駐車禁止だョ。ハイ、免許証出して」
 のこぎりを叩いて音を出すオスカー。
オスカー 「今の俺のささやきがわかったかな?」
リュミエール 「(指折り数えて)6文字ですから、『聞いてないよ』ですか?」
オスカー 「だからお前はモテんのだよ、リュミエール。相手の方が悪くても男から謝る。基本中の基本だぜ、フッ」
オリヴィエ 「あのさァ、駐車してるあんたの方が明らかに悪いんだけどねぇ。で、何て言ったのさ?」
オスカー 「(のこぎりを叩きながら)『俺の負けだ』」
リュミエール 「(首をかしげ)全く聞こえないですねぇ〜」
オスカー 「彼女の心にさえ響けばそれでいい。そしてこう付け加える。こんな風に君と出会えたことはきっと運命だったんだな」
オリヴィエ 「はいはい。リュミちゃん、女役バトンタッチするからね」
リュミエール 「承知致しました。それでは私はキャリアの方に扮しましょう。連続放火殺人事件の犯人が潜伏していると見られるのは◯◯町1丁目から4丁目付近です。徹底的に網をはって下さい」
オスカー 「プライドの高い女の弱点を教えてやろうか? 困難が多ければ多いほど夢中になるってところさ(と、のこぎりを叩く)」
オリヴィエ 「今度は10文字だね。網をはるとかけて『はりきるあんたがスキ☆』とか?」
リュミエール 「私には『はるのなら地引き網』と聞こえましたが…」
オスカー 「なわけがないだろう。(のこぎりを叩きながら)『俺はもう走れない…』そしてこう付け加える。俺は今高熱があるんだ、君というウィルスにヤラれちまってね」
リュミエール 「『地引き網』にしか聞こえません〜」
オリヴィエ 「どっちかって言うとそう聞こえる方が尊敬しちゃうケド」
リュミエール 「耳というのは不思議なものですね」
オスカー 「では締めくくりに最も難易度の高い女への愛のささやきを披露しよう」
オリヴィエ 「難易度の高い女って?」
オスカー 「それはな…留置所の女さ。(のこぎりを叩きながら)『君は危険すぎる』そしてこう付け加える。むしろ俺というオリに閉じ込めたい」
オリヴィエ 「私はそういうあんたこそ即行留置したいねえ」

素材提供:It's just so so

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