第十席


ランディ 「中堅トリオの後は俺たち……」
セイラン 「年令不詳トリオと付き合うのも悪くはないと思うよ」
ランディ 「セイランさん! 今回も来てくれたんですか?」
セイラン 「ああ。もう少し君とからんでみようかと思ってね」
ランディ 「”からむ”だなんてセイランさんは鑑識よりもヤクザ役がよかったんじゃないですか?」
セイラン 「のっけからナイスなボケっぷりで恐れ入るね」
ランディ 「ところでゼフェルはどこ行ったんですか?」
ヴィクトール 「(スーツ姿で走ってきて)ゼフェルならエアバイクの渋滞とかで間に合わないので、俺が代役に来させてもらったよ」
セイラン 「エアバイクの渋滞? 要するにサボリってことだね」
ランディ 「マルセルに続いてゼフェルまで早抜けするなんて…? てことは次回は俺が抜けるってことか?」
ヴィクトール 「それはないだろう。お前は主役なんだから抜けるわけにはいくまい」
ランディ 「(ちょっと感動して)ありがとうございます。そんなことを言ってくれるのはあなただけですよ」
セイラン 「そんなことはないさ。僕だって君ほどの大ボケ役が抜けるなんてこと許されないと思ってるよ」
ランディ 「セイランさんの言葉だと、どうも素直に喜べないなあ……」
ヴィクトール 「それでいいのさ。人間は傷を受けることによって成長していくものだ」
ランディ
「説得力があるなあ〜、ヴィクトールさんの言葉は。今日はせっかく来て下さったんで一つお聞きしたいことがあるんですがいいですか?」
ヴィクトール 「そう改まって聞かれると照れてしまうが……一体俺の何が知りたいんだ?」
ランディ 「ええ、かつては鬼と呼ばれたヴィクトールさんの新人時代のニックネームってあったのかなあ〜って」
セイラン

「なるほど。君は言わずと知れた『フリスビー』でオリヴィエ係長が『ルージュ』、オスカー刑事が『ハナミズキ』、リュミエール刑事が『ハーブ』、果たしてヴィクトール元刑事はと言えば、そのむせかえるような男臭さからすれば『スタローン』もしくは『力こぶ』あたりかな?」
ヴィクトール 「そんな風に言われるといささか言いにくいんだが……実は『めんつゆ』なんだよ」
ランディ&セイラン 「めんつゆ!?」
ヴィクトール

「俺という男はメンツよりもめんつゆにこだわる方でね。どちらかと言えばそばよりもうどん派なんだが、古今東西白いめんの美しさをそこなうことのない、琥珀色のめんつゆしか認めない。それでそんな名前がつけられてしまったんだよ、ははは」
セイラン 「鬼の目にも琥珀色の涙、というところだね。誰にでもこだわりはあるものだよ。僕のこだわりはそう、観覧車かな」
ランディ 「観覧車って、遊園地とかにある?」
セイラン 「僕が一人で遊園地に行く図は想像できないって顔してるね」
ヴィクトール 「いやむしろ二人よりは一人の方が似合ってるぞ、お前なら」
セイラン
「さすが美的感覚が秀逸ですね。仕事がら毎日髪の毛とか指紋とか細かな物たちと向き合っていると、反動だろうか、悠遠な世界にトリップしたくなるんだ。そんな時、観覧車ほど都合のいいものはない」
ヴィクトール 「行きつけの観覧車でもあるのか?」
セイラン
「ええ。高すぎず低すぎず、回転速度も速すぎず遅すぎず、周囲の景色ともベストマッチなのが1基だけね。(ランディに)そうだ、いつか君が『フリスビー』を卒業したお祝に御招待するよ」
ヴィクトール 「よかったじゃないか。がんばれよ、傷は必ず癒されるものだ」
ランディ
「はい! 俺だっていつまでも『フリスビー』じゃいられないですよ。だって万一警察手帳を落として、拾われた時に『フリスビー』なんて書いてあったら恥ずかしすぎますからね」
セイラン 「全く君の悠遠なボケには突っ込み切れないよ」
ヴィクトール 「次回は俺が必ず鋼のツッコミ術師ゼフェルを舞台にあげると約束しよう」

素材提供:It's just so so

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