第二十五席


オリヴィエ 「(リュートをかき鳴らしつつ)ハーイ☆どーも〜」
オスカー 「(のこぎりを叩きながら)さあついてきてくれよ、俺のかなでる濃密なメロディに」
リュミエール 「ようこそ皆様。本日もお客様の心のうちに光満ちあふれるパステル画が描けますように(と、竪琴をポロロン♪)」
オリヴィエ 「あーら、リュミちゃん。夕べは例の投稿用の絵でも描いてたのかなあ?」
リュミエール 「恥ずかしながら。係長には隠し事できませんね」
オリヴィエ 「そりゃあそーよ。オスカーと比べて何倍もわっかりやすいんだもん♪」
オスカー 「秘密めいた男の方が魅力的でモテるってもんだ。ところでな、俺にとってはその『例の投稿用の絵』ってーのは初耳なんだがね」
リュミエール 「先日私がリフレッシュのために軽井沢に参りましたのは御存知ですよね?」
オスカー 「さて、リフレッシュのためだか、逆ナンのためだかはしらないが、話は聞いたような気がするぜ」
オリヴィエ 「あんたと同列にすんじゃないの! リュミちゃん、軽井沢で世にもスペシャルーな二人乗り自転車に乗ったらしいわよー」
オスカー 「二人乗り? ますます逆ナンじゃないか。で、その甘ったるいスケッチ画を旅行雑誌にでも投稿するってことか?」
リュミエール 「(小首をかしげ)甘ったるいかどうかはわかりませんが…」
オリヴィエ 「オスカーの読みが甘ったるいネ」
オスカー 「何故だ? まさか二人乗り自転車に男と乗ったわけじゃあるまい」
リュミエール 「さあ〜。アノ方男だったのか女だったのか…」
オスカー 「ちょっと待て。一体何の話だ?」
オリヴィエ 「だ・か・らー、ミステリーよ、ミステリー! さっさと得意ののこぎり芸でBGMおやんなさい!」
なす術もなくのこぎりをミステリアスに叩き始めるオスカー。
場内の照明も若干落とされる。
リュミエール 「あれはそう、夜が明けて間もない頃、私は軽井沢の霧の中でサイクリング中でした――」
オリヴィエ 「うーん、いいヴィジュアルだねー。水色の髪がなびいたりしちゃってさ」
リュミエール 「とある白樺林に入ると、急にペダルをこぐのが重く感じられました…」
オスカー 「変速レバーの切り換えでもしたんだろ?」
リュミエール 「その通りです!」
オスカー 「はあ?」
リュミエール 「但し、私の意志とは別に勝手に切り換えられたんです」
オリヴィエ 「キャー、コワーイ☆」
オスカー 「喜びすぎだ」
リュミエール
「そして私の耳元で声がささやくのです。『王様の耳はカバの耳』…私は答えました。
 『えっ? ロバじゃなくて?』」
オスカー 「リフレッシュに行って正解だったな。かなりな疲れ方だ」
オリヴィエ 「で、それからどうなったの?」
リュミエール 「声は戸惑っているようでしたが『ロバでなければいけませんか?』と…」
オスカー 「何でもいいだろうが。牛だろうが、豚だろうが、鶏だろうが」
オリヴィエ 「あんた、お腹すいてんの?」
リュミエール 「私は言いました。『あなたの思うままでよいのですよ。御自分の気持ちを大切になさって下さい』と…。そうしたらスッとペダルが軽くなり、色濃かった霧もスッキリと晴れてしまったんです…」
オリヴィエ 「極上のミステリーじゃなーい。最後はほのぼのだし」
オスカー 「バカらしい。朝っぱらからサイクリングしてる方がよっぽどミステリーだぜ。しかも二人乗りなのに一人でな」
リュミエール 「それは足を鍛えようと。それに万が一霧の中でどなたか美しい方が遭難しているかもしれないとも想定しまして」
オスカー 「やっぱり逆ナンか!」
オリヴィエ 「投稿作品、怪談雑誌に載ったらいいねー」

素材提供:It's just so so

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