第二十四席


カティス 「やあお嬢さんたち、『君となら一生恋ができそうだ』 の口説き文句でおなじみ、カティスとゆかいな仲間たちのショータイムへようこそ♪」
ルヴァ 「あー、究極の密会は人混みの中で。少しずつ列が動いていく快感がたまりません、ルヴァでございます」
エルンスト 「人混みは酸素がうすくなり、脳の稼働率が低下するので好みません、エルンストです。
 ところでその眼帯は人混みで転ばれた後遺症だったりするのですか?」
ルヴァ 「いえ、そうじゃないんです。実はあるモノに呪われてしまいましてねー」
カティス 「おいおい、おだやかじゃない話じゃないか」
エルンスト 「一見非科学的な事象を科学的に解明する術には長けているつもりです。よろしければ相談にのりますが」
ルヴァ 「それはうれしいですねー。先週私は店のインテリアにどうかと思いましてアンティークの柱時計を入手したんです」
カティス 「呪われたアンティーク時計、いかにもありそうな話だな」
エルンスト 「入手した場所はどこです?」
ルヴァ 「そうなんですよねー、それって大事な情報ですよねー。
それがさっぱりわからないんです」
カティス 「わからん? 一体どういうことなんだ?」
ルヴァ 「つまりですねー。その柱時計を買ったはずのお店がこつ然と消えてしまったんですよ!」
エルンスト 「非科学度がさらに増しましたね。ますます意欲が高まってきました。ではまず消えたと思われる場所を特定しましょう。この地図のどの辺りですか?」
ルヴァ 「あのー、エルンスト、お言葉を返すようですが、これはちょっと縮尺が大きすぎるんじゃないですかねー、なにせ、日本地図ですから」
エルンスト 「なるほど。日本ではあるわけですね」
カティス 「縮尺を小さくしろ、うんとな。だからといって検察の廊下まで縮めるんじゃないぞ」
エルンスト 「検察庁の廊下での営業行為は禁止です」
ルヴァ 「あのー、この話、やめた方がいいですか?」
カティス 「とんでもない! お前の呪いが解けるまで全力を尽くすまでさ」
ルヴァ 「カティス…それほどまでに私のことを」
カティス 「当たり前じゃないか。漫才コンビの絆は夫婦以上だ」
エルンスト 「聞き捨てなりませんね。コンビではなくトリオなのでは?」
カティス 「まあその辺はアバウトでいいじゃないか。それより解明の方はどうなってるんだ?」
エルンスト 「そうですね。では切り口を変えてやってみましょう。『呪われた』とおっしゃってますが、そう思われる根拠とは何なのでしょう?」
ルヴァ 「根拠は3つあります。1つは、柱時計の音が真夜中の2時だけ鳴らない。1つは、2時を過ぎるとカクテルの温度が急上昇する。最後の1つは、風もないのにターバンがはためく」
カティス 「もしかすると、それは愛に呪われた柱時計かもしれんな」
エルンスト 「どうしてそうなるのですか! 頭がおかしくなりそうです。酸素、酸素…」
カティス 「エルンストにはちと難問かもしれんな。ではこの俺が鮮やかにナゾ解きをしてやろうじゃないか。
ルヴァは人混みでの密会を楽しんだが、いささかはしゃぎ過ぎて疲れてしまった。真夜中の2時前には営業中にもかかわらず、意識がもうろうとしてきてしまった。当然作るカクテルの温度調節にも失敗する。怒った客がターバンでひっぱたいたもんだから、よろけて柱時計にしたたか目を打ってしまった――まあそんなところじゃないか」
ルヴァ 「(大拍手で)すごいですねー、カティス! 何だかそんな気がしてきましたよー」
エルンスト 「で、では、ただ寝ぼけていただけではありませんか!!」
ルヴァ 「いいえ! 愛に呪われたんですよー、私としたことが」
カティス 「まあ、エルンストにはわかるまいな。悔しかったら日本地図いっぱいに印が付けられるほど恋をしてみることだ」
エルンスト 「47都道府県となると最低でも10年はかかると思われます」

素材提供:It's just so so

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