第二十一席
| オリヴィエ | 「(リュートをかき鳴らしつつ)ハーイ☆どーも〜」 | |
| オスカー | 「(のこぎりを叩きながら)グーテンターク、マイネリーベ」 | |
| リュミエール | 「今日もお客様お一人お一人に”愛の漫才”をお届けできればと思っております(と、竪琴をポロロン♪)」 | |
| オリヴィエ | 「早速ツッコんじゃうけど、いきなしドイツ語であいさつだなんて、今日は客席に帰国子女の彼女でも招待しちゃったりしたワケ?この色男」 | |
| リュミエール |
「実は私も係長に折り入ってツッコませていただきたいことがあったのですが…ええ、でもここは何歩かおゆずりしまして、オスカー様恋人疑惑問題を先に解決致しましょう」 | |
| オスカー |
「おいおい、たかが『マイネリーベ』くらいで大げさなこと言うんじゃないよ。実を言うとだな、昨日のレースでドイツ産の馬に賭けたらこれが大当たり!(と、のこぎりを高らかに打ち鳴らし)てなワケでついドイツ語が出ちまったのさ」 | |
| リュミエール | 「(客席を見回し)馬をお連れの方はいらっしゃらないようですが…」 | |
| オリヴィエ | 「また出ちゃったわヨー、リュミちゃんの本気モードの天然!」 | |
| オスカー | 「なあリュミエール、考えてもみろよ、馬を連れてちゃ検問で引っかかるんじゃないか?」 | |
| リュミエール | 「そう言われれば…(と、竪琴を鳴らし)以前オスカー様と馬に乗った容疑者を捕まえたことがありましたね。冷たい雨の中での検問でした」 | |
| オリヴィエ | 「何ソレ。チョーおいしそーなシチュエーションじゃない。ちょっとここで再現フィルムみたくやってくんない」 | |
| オスカー | 「まっぴらごめんだぜ」 | |
| リュミエール | 「オスカー様!(と、オスカーの耳元でひそひそ…)」 | |
| オスカー | 「(顔色を変え)そういうことなら、命がけでやらせてもらうぜ」 | |
| オリヴィエ | 「(ベタにズッこけ)何なの!? その変わり身の速さっ」 | |
| リュミエール | 「では係長、その美しいリュートの調べで雨の情景を演出していただけますでしょうか」 | |
| オリヴィエ | 「いいけど、雨ったって色々あるじゃないの」 | |
| リュミエール | 「そう、例えるなら、その夜は信楽焼の茶碗をひっくり返したかのような、そぼ降る雨…」 | |
| オリヴィエ | 「有田焼でも唐津焼でも良さげだけどね(と、テキトーに奏で始める)」 | |
| オスカー | 「こんな雨の夜には、ステキな出逢いが待っているに違いないぜ。そう思わないか? リュミエール」 | |
| リュミエール | 「オスカー様の予感通りかもしれません。どうやら馬にまたがった女性がこちらへ向かって走ってきています。しかも猛スピードで」 | |
| オスカー | 「フム…あれじゃあまずスピード違反の切符を切らないとな」 | |
| オリヴィエ | 「ねーもしかして、その女性役って必要?」 | |
| リュミエール | 「ご心配には及びません。状況説明は全て私が致しますので」 | |
| オリヴィエ | 「あらそう」 | |
| リュミエール | 「女性はオスカー様の停止の合図に素直に従い馬から下りてこう言いました、『刑事さん、確か馬は軽車両と同じ扱いだと教習所で教わりましたが』」 | |
| オスカー | 「お嬢ちゃんの言い分は正しいな。但しそれは道路交通法の話でね。誰も盗んだ馬に乗っていいとは言っちゃいないぜ」 | |
| リュミエール | 「女性は明らかに動揺した様子で『盗んでなんかいないわ!』とシラを切ろうとしたのです」 | |
| オスカー |
「残念だが君のそのレインコートが動かぬ証拠なんだよ。馬を愛する者はけっしてそんなガサガサ音の出るレインコートは着ない。馬というのはそれほどデリケートな生き物なのさ」 | |
| オリヴィエ | 「さすがだね。で、馬ドロボー女を捕まえたってワケだね」 | |
| リュミエール | 「馬だけではありません。宝石もドロボーしてたんです。レインコートの裏ポケットから出るわ、出るわで」 | |
| オスカー |
「彼女も美しくなりたい気持に勝てなかったんだろう。ところでな、係長。俺もリュミエールも実は”デリケートな生き物”なんでな。親子漫才とやらはほどほどにしてくれよな」 | |
| オリヴィエ | 「あー、アンタってばそれでさっき急にヤル気出したんだね。小粒だねー」 |
素材提供:It's just so so