第十九席


ロザリア 「さあいよいよ出番ですわよ。用意はよろしくて、オリヴィエ係長」
オリヴィエ 「OK。まさかあんたと舞台でデートできるなんてねー(とリュートをかき鳴らす)」
負けじと三味線を叩きながら出ていくロザリア、そしてオリヴィエが後に続く。
ロザリア 「皆様、ようこそお越し下さいました。『シトラス』のリーダー、『ポンカン』です」
オリヴィエ 「『アンポンカン』じゃないですよー、念のため」
ロザリア 「突然ですが本日は皆様に衝撃のお知らせがございます。『シトラス』はしばらくトリオとしての活動を休止し、それぞれがピンでやっていくことと相成りました」
オリヴィエ 「ま、早い話モメちゃってんのよネ?」
ロザリア 「オリヴィエ! 人聞きの悪いことおっしゃらないで。これはあくまで営業上の一作戦にすぎませんの」
オリヴィエ 「ほらほらロザリアったら又悪いクセが出ちゃってるじゃないの。たまには肩の力抜いて、私には正直な気持、話してみてごらんよー」
ロザリア 「もう、オリヴィエにはかないませんわ。実は正直言いますと、レイチェルもコレットも私との”間”が合わないのですわ!」
オリヴィエ 「わかるよー。なんてったって『漫才人は間が命』だもんねー」
ロザリア 「それで少しあの2人には腕をみがく期間を設定しましたの。で、その間に私は新しいタイプの漫才、即ち親子トリオ漫才に挑戦したいんです!」
オリヴィエ 「なるほどネ。夫婦漫才はあっても親子漫才ってあまり聞かないもんねー。で、子供役に誰か呼んでるってことなんだね」
ロザリア 「ご明察。御紹介します。私たちの子供になって下さるのはこちらです!」
メル 「(客席に両手をふりつつ登場)百発百中のボケ師メルだよ、よろしくネ」
オリヴィエ 「いきなりハードル上げたねー、メルちゃん。じゃ早速親子トリオ漫才やっちゃう?」
メル 「うん! ねえねえロザリア母さんは、いつも髪の毛クルクルしてるけど、それって毎朝すし職人が巻いてるってホント??」
ロザリア 「ええ、もちろん。かっぱ巻きのようにこうクルクルってもうっ! そんなワケないでしょ!」
オリヴィエ 「ウ〜ン、なんてビューティホーなのり巻きツッコミ」
メル
「お父さん聞いて。この前の授業参観の時ね、ロザリア母さん髪のセットに時間かかりすぎて大遅刻したんだよ。それなのに堂々と前のドアから入ってくるんだもん。メル、恥ずかしくて口から火が出ちゃったよ」
オリヴィエ 「口から火って、あんたまさか前の席の子焦がしちゃったの!?」
ロザリア 「それは不幸中の幸いで大丈夫でしたの。メルは最前列でしたから焦げたのは先生だけでした、オホホホ」
オリヴィエ 「あららら…」
メル
「他にもあったんだよ。ロザリア母さん、授業中に生徒でもないのに『ハイッ』って手を上げるから何事かと思ったら『先生、申し訳ありませんがレストルームに行きとうございますのでお話の方止めておいていただけません』なーんて言うんだよー」
オリヴィエ 「今度は口からトランプでも出た?」
ロザリア 「だってせっかくの先生のお話を聞き逃したらそれこそ失礼でしょう?」
メル 「じゃあ逆に訊くけど、母さんの留守中残されたメルたちは何をしてればいいの?」
ロザリア 「それは色々とありますでしょ。三味線のバチの素振りですとか、カレンダーに☆をつけておくとか…」
メル 「カレンダーに☆ってどういう意味??」
ロザリア 「(顔を真っ赤にして)そ、それは私の口からはとても申し上げられませんわ」
メル 「お父さん、☆ってもしかして…」
オリヴィエ 「メルちゃん、子供は余計な心配しなくていいのっ」
メル 「あーっ、ロザリア母さん口から万国旗出してる!!」
オリヴィエ 「なんだかマジでロザリアが『アンポンカン』に見えてきた…」
メル 「百発百中はロザリア母さんだったね」

素材提供:It's just so so

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