第十二席


カティス 「やあお嬢さんたち、『君があふれて窒息しそうだ』の口説き文句でおなじみ、カティスとゆかいな仲間たちのショータイムへようこそ♪」
ルヴァ 「あー、密会のサインは交番のメモ、ルヴァでございます」
エルンスト 「! よりによってあなたは何という恥ずかしいまねを」
ルヴァ 「本当に無人交番の多さには閉口してしまいますねー、うんうん」
エルンスト 「そうではなくてですね…すっかり取り乱してしまいました、エルンストです」 
カティス 「メモの内容を聞いたらもっと取り乱すぞ」
エルンスト 「聞きたくありません!」
ルヴァ 「まあまあ。今日はまだ3回目なんですから気楽にいきましょうねー、お気楽ご気楽に」
カティス 「じゃあ気楽にエルンストの鼻歌でも聞いてみるか?」
エルンスト 「鼻歌ですって!? 私はそのような歌を冒とくするような行為はできかねます」
カティス 「相変わらずカチンコチンな奴だなあ」
ルヴァ 「そうです、鼻歌といえば、昨日から気になってるフレーズがあるんですが、よかったらお2人に相談に乗っていただければと」
カティス 「お安い御用だ。話してみろ」
エルンスト 「私も歌はジャンルにかかわらず詳しい方かと思いますのでお役にたてるかと」
ルヴァ 「そうですか、それはうれしいですねー。実は私、昨日は定休日だったものですからいつもよりもゆっくり寝させていただきまして、起きたのは昼過ぎてましたかねー」
カティス 「たまに遅く起きた休日は、ゆっくりワイン風呂に入ってシャンソンを口ずさむのも悪くはない。もちろんワインは極上のブルゴーニュでな」
ルヴァ 「ブルゴーニュですか!? でも私も負けてはいませんよー。昨日は酒粕風呂にはいったんですよー。あれは身体がポッカポカにあったまりますからねー、うんうん。もちろん酒粕は極上の久保田です」 
エルンスト 「道理で先ほどから舞台上に異臭がすると認識していましたが、酒粕だったのですね!」
ルヴァ 「いい香りでしょう? なんてったって久保田ですから(と、エルンストに大接近)」
エルンスト 「(鼻をおさえ)それで久保田利伸氏の歌でも口ずさんだというのですか?」 
ルヴァ 「(手を打って)それは! 今の今まで気が回りませんでしたよー。酒粕風呂だとつい演歌しか出てきませんで。さすがはエルンストという他はないでしょう」
カティス 「で、その演歌のフレーズがわからないのか?」
ルヴァ 「いえいえ、その時の歌ははっきりわかってるんですよー、『舟唄』だって」
エルンスト 「では『気になるフレーズ』というのはいつの時点での話なのですか!」
ルヴァ 「そんなに検事口調で詰問しないで下さいよー。ちょっと快感な部分もありますけどネ。お風呂から上がってみると、なんと親友のカッちゃんが廊下でのたうちまわっていたんです!」
カティス 「この前熱海で再会したあのカッちゃんのことか?」
ルヴァ 「そうです、よく覚えていて下さいました。あんなに生き生きとしていたカッちゃんがもう虫の息で、一刻の猶予もないと直感しましたので、私思い切って腹をかっさばきました」
エルンスト 「ナント! 無免許で緊急手術をされたというのですか!?」 
ルヴァ 「お言葉を返すようですがねー、エルンスト。一応免許は持っているんですよー、これでも」
エルンスト 「それは御無礼致しました」
カティス 「それで、さばいた後はどうした? ”づけ”にしたのか? それとも”たたき”か?」
エルンスト 「何をフザけたことを! 魚じゃあるまいし」
ルヴァ 「魚、ですよ」
カティス 「魚以外の何者でもあるまい、『カッちゃん』はな。何せ鰹の『カッちゃん』だしな」
エルンスト 「異議あり! 鰹にちゃん付けは止めていただきたい、紛らわしすぎます」
カティス 「ただの鰹じゃない。ルヴァの大事な親友だぞ」
ルヴァ
「そうなんです。だからさばいていたら泣けてきちゃいましてねー。思わず、♪ムムム〜ム〜 ムムムムム〜ムムム〜ム〜ム〜ってフレーズが出てきたんですよねー、うんうん」
エルンスト 「その歌は確か…♪今は、もう、動かない、その時計〜 ではないでしょうか」
カティス 「会場のお嬢さんたち、今日は得をしたな。エルンストの歌が聞けたじゃないか」

素材提供:It's just so so

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