フリスビー刑事チャーリー編
第5話


○古着屋『ブルーチップス』・店内

上から下まで迷彩色のミリタリールックで決めたチャーリーが入ってくる。
女店員 「いらっしゃいませ」
チャーリー 「(凄みを利かせた声で)店長、呼んでくれるか」
女店員 「…少々お待ち下さい」
と、おびえてボビーを呼びに走る。
チャーリーがしている、店のベルトを見て、一層目をギラつかせるボビー。
ボビー 「(チャーリーに近寄り)ようこそいらっしゃい。何かお捜しものでも?」
チャーリー 「そうやない。クレーム言いに来たんや」
と、バックルの蓋を開け閉めする。
ボビー 「わかりました。奥の部屋でゆっくりお聞きしましょうか」
チャーリー 「案外物わかりがええんやな」
と、奥の部屋へと消える二人。
不安げに見送る女店員。
そこへ極楽鳥スタイルで入ってくるオリヴィエ、続いてランディ。
オリヴィエ 「どうしたの? 顔色悪いよ〜」
女店員 「あっお客様!」
オリヴィエ 「アンタってば、私に会いたかったって顔に書いてあるよ。どう? マフラー、似合ってる?」
女店員 「ええ、とっても!」
さりげなく奥の部屋へと近づいていくランディ。

○同・奥の部屋

対峙しているチャーリーとボビー。
ボビー 「それでクレームというのは?」
チャーリー 「これやがな」
 と、白い粉の入った袋を放り出す。
チャーリー 「素人の目はごまかせても、俺には通用せーへんで。こんな混ぜもんしたブツ握らせて、どういうつもりなんや!?」
ボビー 「おい、待ってくれよ!」
チャーリー 「これはリッキーから買ったブツの一つや。こっちは大枚払うてるんや。何ボ不景気やゆーたかて、こないな極悪商品売りつけられて、黙ってられるかいな!」
 袋の中の粉を舐め、ペッと吐くボビー。
ボビー 「何じゃ、こりゃ」
チャーリー 「『何じゃ』やあらへんで。リッキーに文句言おう思てたら、あんたらに消されてしもたしなあ」
ボビー 「言いがかりはやめてくれ!」
チャーリー 「(ニッと笑い)俺な、リッキーだけやのうて、サムとも親しかったんやで」
ボビーの血の気がひいていく。

○『グレイ・カンパニー』事務所・表

リュミエールと麻薬課捜査員達が張込んでいる。
リュミエール 「(時計を見て)そろそろ予定の時間ですが、大丈夫でしょうか…」
と、事務所の窓を見上げる。

○同・中

電話のベル。
サムを脅していた男―ニコルが出る。
ニコル
「もしもし。…ボビーか、どうした?…マズイことになりそうだと!?…わかった。とにかく俺が行くまでその野郎を足止めしておくんだ。いいな!」
 と、周りの者達が色めき立つ。
ニコル 「若い奴らを集めるんだ!」
子分 「へい!」
金庫を開け、武器類を取出す子分達。
そこへ登場してくるオスカー。
オスカー 「よおニコル、デートに誘いに来たんだが、ずい分と忙しそうじゃないか」
ニコル 「お前は確か…ハナミ…」
オスカー 「(素早くニコルの口を塞ぎ)おっとそれ以上言ったら、ブッ放すゼ」
と、拳銃を突きつけるのだ!
オスカーの背後から飛びかかろうとする子分達だが次々と銃弾に倒れていく。
リュミエール 「(華麗に拳銃をかまえ)お願いです。どうか私に、これ以上引き金を引かせないで下さい」
子分の一人が逃げようとするのを見て、正確に足を撃ち抜くリュミエール。
リュミエール 「今日はもうお休みになった方がよいのではありませんか」

○古着屋『ブルーチップス』・店内

 相変わらず女店員と盛り上がって話し込んでいるオリヴィエ。
 オリヴィエのケータイが鳴って―
オリヴィエ 「(大声で)はあい、私よーん。 …あらそう、まっ白いお宝ザックザク!
 わかった、後で合流するから、もうちょっと待っててねーん」
と、ランディに合図すると、試着室に入るランディ。
女店員 「お客様?」
と行こうとするのを抱き寄せて引止めるオリヴィエ。
オリヴィエ 「ごめんネ。ちょっとだけ静かにしてて欲しいんだ☆」
と、濃厚なキッス!
失神して倒れ込んでしまう女店員。

○同・試着室

ランディの後を追おうとするオリヴィエだが極楽鳥スタイルが邪魔して、鏡を通り抜けられない。とうとう三面鏡を壊してしまった!
オリヴィエ 「私ったら、イケナイ子!」

○同・奥の部屋

大きな物音に部屋を飛出すボビー。
追うチャーリー。

○同・試着室〜通路

ボビー 「(壊れた鏡を見て)しまった!」
と、通路へ。追うチャーリー。
通路に響き渡る4人の足音。

○◯同・地下室

部屋に飛込んでくるランディ。
女達の悲鳴。
ランディ 「(サムを見つけ)サム! 警察だ! リッキー殺害の容疑で逮捕する!」
おびえるサムの前に、ハサミを鳴らしながら立ちはだかるケイト。
ランディ 「!…何をする気だ!?」
 無気味に笑うケイト。

○同・地下一階通路

拳銃を出しオリヴィエを撃とうとするボビー。
チャーリー 「危ない! オリヴィエはん!」
 振向くオリヴィエの頬をかすめる銃弾。
オリヴィエ 「どこ狙ってんのヨッ!!」
 と、ボビーに襲いかかって拳銃を払い落とし、取っ組み合いになる二人。
 そして拳銃を拾い上げるチャーリー。

○同・地下室

ハサミを手にランディに迫るケイト。
ケイト 「ここはやっと見つけた私のお城なん。はよ出てって(と、狂気の眼差し)」
そこへ入ってくるチャーリー、目にした光景に息をのむ。
ゆっくりとチャーリーの方に向くケイト。その両目が大きく見開かれる。
チャーリー 「ケイト・・突き刺すんやったら、俺を刺すんや。俺のここを」
と、拳銃を握った右手で左胸を押える。
ケイト 「お兄ちゃん…私がお兄ちゃんを刺したら、お兄ちゃんはその銃で、私のここを(と、左胸を差し)撃ち抜いてくれるのん?」
チャーリー 「ああ、ええで。ケイトがそうして欲しいんやったら、ちゃんと撃ったる」
ランディ 「(泣きながら)やめてくれ! そんな…そんな二人を、俺は見たくない!
 ほんの少しでいい、思い出してくれ、笑顔だったあの頃を」
と、胸ポケットからタコのイヤリングを取出して見せる。
チャーリー 「フリスビーはん…」
拳銃をランディに渡し、イヤリングを受取るチャーリー。そしてそのイヤリングをケイトの耳に付けてやる。
チャーリー 「ほんま、けったいなんが似合うてからに」
と、ケイトの手からハサミをそっと取ると、優しく抱きしめる。
ケイト 「お兄ちゃん」
チャーリー 「おかえり」
ボビーに手錠をかけたオリヴィエが入ってくる。
オリヴィエ 「フリスビー! 泣いてる場合じゃないヨ。サムが淋しがってるじゃない」
ランディ 「はい! 係長」
と、今度はうれし泣き状態だ。

○七聖警察署・取調室

サムを取調べているオスカー。
オスカー 「サム、ボビーとニコルに頼まれて、リッキーの護送車に突っ込んだんだな?」
サム 「(うなだれ)やらなきゃ薬はもうやらないって言われて…仕方がなかったんだ」
オスカー 「お前も快楽という名の深みにはまっちまった、哀れな罪人だったんだな。ハートが痛いぜ」

○同・捜査課(夕)

乾杯している捜査課の面々。
オリヴィエ 「私たちのおかげでやっと麻薬課の連中も安眠できるよねェ」
オスカー 「リュミエール、お前もな」
リュミエール
「はい。おかげさまで今夜からは拳銃の夢から逃れられそうです。! そうでしたっ! まだもう一つ眠れないことがありました。オスカー様のニックネームが何だったのか?」
オスカー 「おっ、おい…」
ランディ 「俺、知ってますよ」
ギョッとしてランディを見るオリヴィエ、オスカー、リュミエール。
ランディ 「チャーリーさんが教えてくれたんですが、俺、感激しましたよ! 先輩らしい素晴らしいニックネームですよね」
リュミエール 「感激? 素晴らしい??」
ランディ 「平和のシンボルの花『ハナミズキ』ですよ。いいよなあ…『フリスビー』より断然いい」
リュミエール 「『ハナミズキ』ですかー??」
オリヴィエ
「(オスカーに囁きかけ)フーン、うまく丸めこんだもんネ。1字違いで何とやら。チャーリーが持込んだ囮作戦、妙にアンタが乗り気だと思ったら、フーン、そういう取引だったってワケネ☆」
オスカー 「このおしゃべり極楽鳥め」

○公園(早朝)

ベンチで詩集を読んでいるセイラン。
その横にすわってハトの群れを眺めているランディ。
セイラン

「『兄』だとか『妹』だとか『男』だとか『女』だとか、そんなものはただの呼び名さ。ただお互いを大切に想う心さえあれば、そこには必ず永遠の絆が生まれる。
 残念ながら、僕は未経験だけどね」
ランディ 「絆…」
 群れから離れて飛び立っていくひとつがいのハト。

○病院・庭

 ケイトの乗る車いすを押していくチャーリー。
(チャーリー編完ロザリア編に続く)

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シリーズとしてはまだ続く予定なので、色んなほころびは御容赦あれ〜(オスカーのニックネームの由来とかね)
にしても、私ってば好きな方はどうも悲劇的にしたいらしいねえ。チャーリーさん、誕生月なのにゴメンネ。(すばる)

というわけで次回作はフリスビーをお休みしてあのシリーズの続編、の予定です。お楽しみに。(ちゃん太)

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