フリスビー刑事チャーリー編
第4話愛という名の…


○『情報屋』・中(チャーリーの夢)

チャーリー 「(ドアを開け)ただいま〜」
端の方の階段を上っていくと、子供部屋になっていて、少女時代のケイトが出迎える。
ケイト 「お帰りなさーい!」
 × × ×
ままごと道具を使い、ガツガツと食べる仕草をしているチャーリー。
チャーリー 「あーうまかった。ごちそうさん」
ケイト 「よろしゅうおあがり」
と、満面の笑顔である。

○『情報屋』・中(朝)

ベッドで目覚めるチャーリー。
チャーリー 「連チャンやなあ、ここんとこ。ほんま、かなんなあ」
と、階段を下りていく。
ドアの小窓を明けると、外でウロウロしているランディが見える。
チャーリー 「どないしたん? フリスビーはん、そないなとこでモジモジして」
一瞬笑顔を見せるが、すぐに暗い表情になってしまうランディ。

○中華料理店(朝)

丸テーブルの個室で向い合っているランディとチャーリー。
チャーリー 「たまには朝からこってり中華いうのもええやろ? 心配せんでも俺がおごるさかい、じゃんじゃん食べてやあ」
と、フカヒレスープをすする。
押し黙ったままのランディ。
チャーリー 「(スープをすすりつつ)えらい今日はフリスビーはんらしいないなあ。何か悩み事でもあるんやったら聞くでえ。商売抜きであんたのこと友達と思てるんやで、これでも」
ランディ 「じゃあ俺も、刑事としてではなく、友達としてチャーリーさんに話します」
と、テーブルにタコのイヤリングを置いた。
チャーリーの動きが止まる。
チャーリー 「(震える手でイヤリングを取り)これ…ケイトのなんか?…」
ランディ 「それはまだわかりません。今は、ある捜査現場にあったとしか言えません」
チャーリー 「フリスビーはん、俺をなめたらアカン。調べたらすぐにわかることやがな。けど、相当ヤバイ現場やいうことやな」
ランディ 「チャーリーさん、俺、必ずケイトさんのこと、守りますから!」
チャーリー 「おおきに。生きてるんか死んでるんかもわからん妹のこと、守ってくれるてゆーてくれただけで、嬉しいわ」
ランディ 「妹さんのこと、聞かせて下さい」
胸ポケットからケイトの写真を出し、ランディに見せるチャーリー。
チャーリー 「写真見て、気づかへんか?」
ランディ 「…目の色が!」
ケイトの瞳の色は、右が緑、左が茶色をしているのだ。
チャーリー 「子供は無邪気やいうけど、俺はそうは思わへんなあ。言いたい放題で、何でもアリで、邪のかたまりやったで」

○チャーリーの回想・公園

 子供達に石を投げられているケイト。
子供 「お前の目ん玉、気持悪いんだヨッ!」
そこへ走ってくるチャーリー少年。
チャーリー 「やめろ! やめんかい!」
と、ケイトの盾となる。
 × × ×
ケイトの額の血をふくチャーリー。
ケイト 「お兄ちゃん、どうしたらケイトの目、取り換えられる?」
チャーリー

「取り換えることなんかあらへん。
 俺はケイトの瞳が大好きなんやで。萌え立つような若草色も、胡桃みたいな優しい茶色も、どっちも大好きや。心配せんでも俺がお前のこと、守ったるさかい、もう泣かんとき」
 涙に輝くケイトの二つの瞳。

○元の中華料理店(朝)

チャーリー 「その気持に嘘はない。今も、これからもずっと変わらへん。けど・・」
 と、チャーリーの目が涙に潤む。

○七聖警察署・射撃練習場

 次々と的の中心に銃弾を撃ち込んでいくリュミエール。
オリヴィエ 「相変わらずビューティフォーな腕前だねェ、リュミちゃん」
リュミエール 「係長・・」
オリヴィエ 「わかってるよ。アンタの趣味じゃないってことは。又オスカーの『血なまぐさい予感』って奴だろう?」
リュミエール 「『グレイ・カンパニー』が関係している以上、何が起こっても驚くべきことではありませんからね」
オリヴィエ 「つらいよね。七聖署一の射撃の名手もさ。で、オスカーは?」
リュミエール 「サムをマーク中のハズですが」

○ゲームセンター

射撃ゲームをしているオスカー。
撃っても撃っても起き上がり迫ってくるゾンビ達。
オスカー 「フッ、血なまぐさいのは苦手だぜ」
と、視線の先にはレーシングゲームに興じているサムがいる。
そのサムに親しげに声をかける男―ボビーだ。
オスカー 「奴は『ブルーチップス』の…。サムをどう料理するつもりだ?」

○◯古着屋『ブルーチップス』・地下室

目つきの怪しい女達がベルト作りをしている。ケイトも仲間の一人だ。
大きめのハサミで革を裁断していくケイト。
ケイト 「(何も切らずただハサミを鳴らし)この音聞くとゾクゾクする…何もかんも壊れてしまう音や」
仲間の女 「また始まったよ…」
ハサミの音のテンポがどんどん速まる。
そのケイトの腕を乱暴につかんで止めさせるボビー。ボビーの後ろにはサムが立っている。
ボビー 「ケイト、新入りだ」
虚ろにサムを見上げるケイトの片方の耳に、タコのイヤリングが揺れている。
面白がって触ろうとするサム。
ケイト 「触らんといて! これは私の”命”なんやから…」

○ランディの家(夜)

サニーとじゃれ合っているランディ。
ランディ 「よせよ、サニー、アハハハ…(急に真顔になり)もしお前が突然いなくなったら、俺は何をするだろうか?…」
小首をかしげているサニー。
脳裏によみがえるチャーリーの涙。

○ランディの回想・中華料理店(朝)

チャーリー

「…俺がお前のこと、守ったる―その気持に嘘はない。今も、これからもずっと変わらへん。けど…けどな。あれは俺が高校2年の時やった。同級生の女の子から手編みのセーターをもろうたんや。
俺な、結構モテモテ君やったんや」
ランディ 「でしょうね」
チャーリー

「手編みのセーターなんかもろたん初めてやし、毎日着てたわ。正直言うて重たいんやけど、その重たさがたまらんのや。それがある日、そのセーターがどこにも見当たらへん。そしたらその晩ケイトの部屋からカシッカシッいう音が聞こえてきた。ドアの隙間からのぞいたら、あいつ、俺のセーターをハサミで切り刻んでた…」
 × × ×
ドアの隙間越しにぶつかるチャーリーとケイトの視線。
 × × ×
ランディ 「チャーリーさん…」
チャーリー

「俺、ケイトのことは大好きや。
 けど、あいつといると息苦しいなる。あいつもそれを感じてた。二人の想いが長い年月、澱のようにたまっていった。それでとうとう5年前、ケイトは俺の前から姿を消してしもたんや」
 と、涙が一筋流れた―。

○元のランディの家(夜)

ランディ 「チャーリーさんの、あの涙の意味は何だったんだろう?…哀しみ、苦しみ、憎しみ、とまどい…どれも違うな、きっと」
 窓を開け放し、満天の星を見上げるランディ。    
ランディ 「こんな時、セイランさんなら何て言うんだろうか?」
 電話のベル。
ランディ 「はい、ランディですが」

○七聖警察署・捜査課(朝)

オリヴィエ&リュミエールの声 「囮捜査!?」
係長デスクの前のランディを、髪をふり乱して怒っているオリヴィエ。
オリヴィエ 「フリスビー! そんなのはアンタみたいなまだ名前も呼ばれない半人前、もとい三分の一人前の刑事が口にする作戦じゃないんだヨ!」
ランディ 「しかし係長…」
オリヴィエ 「黙らっしゃい! これ以上私を怒らせないでっ。ちりめんジワが増えちゃう」
と、そこへ入ってくるチャーリー。
チャーリー 「まあそないに怒らんといてーな、オリヴィエはん。実を言うとな、言い出しっぺは俺なんや。なあ、フリスビーはん」
ランディ 「はあ…」
 たちまちオスカー達に取り囲まれるチャーリー。
チャーリー 「『情報屋』のとび切りの名案でっせ〜」

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もう2度とないくらい思いっきりアンジェっぽいタイトルにしてみました(激恥)。次回最終話のハズです。(すばる)

きゃー!!…以下自粛。(ちゃん太)

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