フリスビー刑事チャーリー編
第3話潜入


○七聖警察署・捜査課

勢いよく戻ってくるランディ。
ランディ 「係長、『情報屋』のチャーリーから手がかりになりそうな写真を1枚、手に入れました」
と、写真をオリヴィエに渡す。
オリヴィエ 「どれどれ〜」
と見ると、リッキーがサイケデリックな服でモデルのようなポーズをとっている。
ランディ 「リッキーは古着が趣味で、その写真を仲間に何枚か配って、自慢していたようです」
オスカー 「(写真をのぞき見て)まるでチンドン屋じゃないか」
オリヴィエ
「アンタって寒気がするほどセンスないわねェ。これがファッションっていうものなんだけどネ…(と突然眼光が鋭くなり)リュミエール! 例の事故ったトラック運転手の写真、もう一度見せて!」
リュミエール 「はい。今しばらくお待ち下さい」
と、優雅な仕草でデスクを調べる。
リュミエール 「……これでしょうか?」
と、オリヴィエに渡すと――
オリヴィエ
「(二枚の写真を見比べ)ビンゴ。
 フリスビー、この二人のズボンのベルト見てごらん☆」
ランディ 「ベルト…あっ! 同じ模様のバックルをしている!」
オスカー 「さすがは係長殿。どうやらリッキーの死は、ただの事故じゃなさそうだな」
オリヴィエ 「だから言ってるでしょ。歯磨くよりファッションセンス磨けってネ」

○古着屋『ブルーチップス』・近くの路上

アロハシャツ姿で待っているランディ。
そこへまさに極楽鳥と呼ぶに足るファッションで登場してくるオリヴィエ。
2、3度、ランディの目の前を往復すると、サングラスを外すオリヴィエ。
オリヴィエ 「フリスビー、おまたせ☆」
ランディ 「(一瞬あっけにとられ)かっ、かっ、係…」
オリヴィエ 「アンタまさかその続きをここで言うつもりじゃないでしょうネ」
ランディ 「かっ、かかりましたね、時間…」
オリヴィエ 「そうでもないよ。休みはいつもこんな格好だしネ」
ランディ 「いつも!?」
オリヴィエ 「(声を落とし)で、例の店は?」
ランディ 「あの『ブルーチップス』です。オスカー先輩の調べでは、リッキー達がしていたベルトはあの店のオリジナル品なんだそうです」
オリヴィエ 「じゃ、お買い上げにいきますか」

○同・店内

ヴィンテージもののジーンズやアーミーファッションなど様々な古着類が積み上げられている。
店長のボビーは鋭い目つきの男だ。
ドアが開いて颯爽と入ってくるオリヴィエとランディ。
女店員 「い、いらっしゃいませ…」
オリヴィエ 「はぁい、今日はねェ、彼に『美意識』ってものを講義しちゃおっかと思ってお世話になりに来たワケ。よろしくネ☆」
女店員 「こちらこそ」
 と、ランディを見てプッと吹き出す。
ランディ 「そんなに変かなあ、俺って・・」
女店員 「そうですねぇ。やはりアロハシャツに白いマフラーはどうかと…」
 × × ×
ベルトを丹念に調べているランディ。
一方オリヴィエは夢中でサイケ調の服をあさっている。
オリヴィエ 「ねェ、試着してもいいかな?」
女店員 「どうぞ。こちらです」
 と、試着室に案内する。

○同・試着室

とりあえず首に七色のマフラーをしてみるオリヴィエ。
オリヴィエ 「なかなかいいんじゃない」
と、三面鏡の前でポーズをとるが、その中の一枚の鏡だけ映りが気になる。
オリヴィエ 「なーんかここだけ不細工よネ」
と、鏡に触れると、ガタガタ音がする。
そして色々に触っているうちに、不意に鏡が回転して、奥へと通じる通路を発見した!
女店員の声 「お客様、いかがですか?」
オリヴィエ 「おかげさまでいいカンジよ〜」

○街・覆面車の中

トラック運転手サムを尾行しているオスカーとリュミエール。
リュミエールが運転し、オスカーは助手席で缶コーヒーを飲んでいる。
リュミエール 「オスカー様、私実は以前よりお聞きしたかったことがあるのですが」
オスカー 「何だよ改まって。口説きのテクニックなら、ただって訳にはいかないゼ」
リュミエール 「いいえ。それなら私にもいささか心得がございますので。私がぜひお聞き致したいのは、オスカー様の以前のニックネームなのですよ」
 いきなりコーヒーを吹き出すオスカー。
リュミエール 「オスカー様がひた隠しておられる様を見るにつけ、さぞや悪名だったとお察し致しますが、最近はもうそのことが気になって気になって、夜も眠れないほどなのです」
オスカー 「そういう時こそ、得意のハーブティで何とかすればいいじゃないか」
リュミエール 「ええ、カモミールとマジョラムをブレンドして飲んではいるのですが」
オスカー 「! リュミエール、見ろ!」
 と、サムが数人の男に取り囲まれている!
リュミエール 「助けてさし上げなくては…」
と、車から下りようとするのをオスカーが制する。
オスカー 「待て。あの中の一人に見覚えがあるぜ…! 『グレイ・カンパニー』の事務所にいた男だ」
リュミエール 「『グレイ・カンパニー』! 
 あのマフィアとも関わっていると噂の!?」

○古着屋『ブルーチップス』・店内

店から出ていくボビー。
ランディに目配せすると、女店員に語り出すオリヴィエ。
オリヴィエ 「そもそも私がファッションてものに目覚めたのはねェ…」
その隙に試着室にしのび込むランディ。

○同・試着室〜通路

鏡を回転させると通路へと潜入するランディ。
通路の行止まりに階段を発見して降りていく。ただならぬ気配を感じ、拳銃を手にするランディ。

○同・地下一階通路

通路に積まれたダンボール箱。その一つを開けると、例のベルトが詰込まれている。
ランディ 「ここにあったのか」
と、一本取出し、バックルをよく調べてみると、蓋が開くようになっていて、中に物が入れられる仕組みだ。
ベルトを丸めてポケットに入れると、ダンボール箱を閉めようとして、ふと手が止まるランディ。そして箱の中から小さなタコのイヤリングを取出す。
ランディ 「このイヤリングは…」

○『情報屋』・中

イヤリングをしたケイトとチャーリーの写真。
その横で電話しているチャーリー。
チャーリー 「…その程度のネタやったら、前と大差ないがな。ビタ一文払えんなあ」

○古着屋『ブルーチップス』・地下一階通路

奥の方でドアの開く音がして、人の話し声が聞こえる。
すぐさまダンボール箱を閉め、階段の方へと戻るランディ。

○同・店内

オリヴィエ 「でねェ、最近はファッショナブルな人生において、『めんどくさい』って単語はタブーだって言いたいんだよねェ」
と、試着室から出てくるランディ。親指を立ててサインを送っている。
既にフラフラ状態になっている女店員。
オリヴィエ 「つい長話になっちゃったねェ。
それじゃあ、この七色マフラーだけ頂いちゃおうかナ☆」
女店員 「毎度ありがとうございます〜」

○同・近くの路上

手に入れたベルトのバックルの蓋を開けてみせるランディ。
ランディ 「この中に薬を入れて、持ち出していたんじゃないでしょうか」
オリヴィエ 「十分にあり得るね。フリスビー、アンタ意外にやるじゃない」

○同・地下一階通路

ハイヒールの靴音が響き、ダンボール箱の前で止まる。
ガサゴソと探し回る手。
女の声 「どこいってしもたんやろ?」
と、振向く顔――それはまぎれもなくケイト、その人である。

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久々、というか初めて(?)オリヴィエ係長本領発揮の巻〜。そのあおりをくってチャーリーさんほとんど出番なし(泣)。(すばる)

いささか心得が、の水様にくらくら。(すみません、いつもこんな読み方で。)
場慣れしているはずの店員をどもらせる係長、流石。(ちゃん太)

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