アンジェポンタン企画

守護聖様たちの9人制バレー


2.マルセルは一生懸命

 ◯占いの館

サラ 「あらいらっしゃい、アンジェリーク。どうしたの? うかない顔して」
アンジェリーク 「そんなあ。私はいつだって元気いっぱいですよ、サラさん」
サラ 「いいのよ、無理しなくて。その様子だと、又ラブラブフラッシュかしら?」
アンジェリーク 「…お願いします! 今度こそ私の気持、伝わりますように」
サラ 「わかったわ。さあ、あなたも祈って」
 その様子を陰からじっと見つめているまなざし――ジュリアスである。

 ◯公園裏の広場(数日後)

ネットの準備をしているオリヴィエ、パスハ、ランディ、マルセル。
パスハ 「それで今日の練習には何人お集まりになるのですか?」
オリヴィエ
「今ここにいる3人とルヴァ。後アンジェリークがゼフェルを呼びに行ってるから、うまくすれば5人てとこかな」
パスハ 「第1回目にして過半数とは、さすがオリヴィエ様」
オリヴィエ 「それ、ほめてんの」
 ルールブックを片手にルヴァ登場。
マルセル 「あ、ルヴァ様がみえられましたよ」
 と、走っていく。
マルセル 「お待ちしてました、ルヴァ様」
ルヴァ 「あー、こんにちは、マルセル。いやいや、9人制バレーというのは知れば知るほど、奥の深い球技ですねー。興味をひかれます」
マルセル 「そうなんだ。例えばどんな?」
ルヴァ 「例えば、ですか。あー、そうですね、例えばブロックのワンタッチ、ええと、ブロックというのはですね、マルセル…」
オリヴィエ 「やれやれ。『ルヴァ様の講義』が終わるまで、我々はその辺走ってようか」
ランディ 「公園十周はできそうですね」

 ◯ゼフェルの執務室

アンジェリーク 「どうしてですか? 昨日は練習に参加して下さるって…」
ゼフェル 「昨日は昨日。今日はそんな気分じゃねーんだよ!」
アンジェリーク 「ゼフェル様…こういう機会に他の守護聖様たちと仲良くされたらいいと思うんですけど」
ゼフェル 「うるせーんだよ。用がねーんならさっさと帰りやがれ!」

 ◯公園裏の広場

パスハをコーチとして、レシーブ練習を始めているオリヴィエたち。ただ、ルヴァだけはまだ本を読んでいる。
ルヴァ 「あー、ルールを完全に把握しなければ、効率の良い練習ができませんからねー…」
ランディ 「あれで試合に間に合うんですか?」
オリヴィエ 「いいんじゃないの。人それぞれってことでさ。おっ、ナイスレシーブだね、マルセル」
既に汗びっしょりのマルセル。
マルセル 「バレーボールって楽しいですね」
オリヴィエ 「そうかい。なかなか筋がいいよ、マルセルは。足は動くし、ボール感もいい。
 思うに彼は理想的なハーフセンターじゃないかなあ。どうだい、パスハ?」
パスハ 「はい。私も同感です」
オリヴィエ 「じゃ、決まりね」
マルセル 「あのう、ハーフセンターって…」
ランディ 「ポジションのことだよ。9人のまんまん中。言ってみればレシーブの要かな。重要な役目なんだゾ」
マルセル 「僕なんかが、そんな重要なポジションで大丈夫でしょうか?」
オリヴィエ
「大丈夫、と言いたいところだけど、ここは厳しく言っておこうかな。要はマルセルのがんばり次第。いくら素質があっても努力をしなければ上手くはならない。草花だってそうだろう、美しい花も水や養分をやってこそ花開く」 
マルセル 「わかりました、オリヴィエ様。僕、精一杯がんばります!」
オリヴィエ 「期待してるよ。さーてじゃあパスハ、次はもう少し厳しい球で、レシーブ練習、頼むよ」
パスハ 「了解しました」
 次第に熱をおびてくる練習風景。そこへ走り込んでくるアンジェリーク。
 と、オスカーの姿が目に入る。
アンジェリーク 「オスカー様。練習に来て下さったんですか?!」
オスカー 「まさか、お嬢ちゃん。ただの通りすがりって奴さ。それにしても気合入ってるねえ、マルセル坊やは」
アンジェリーク 「本当。花壇の手入れをしている時とは、まるで別人のよう」
オスカー 「まあ皆にはせいぜい上達しておいてもらって、真打ちは最後に登場ということだな。俺のスパイク姿に、ホレるんじゃないゼ、お嬢ちゃん」

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あのお方が気になりますよね……ふふふ。

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