アンジェポンタン企画
守護聖様たちの9人制バレー
1.オリヴィエの苦悩
○オリヴィエの執務室(朝)
珍しく王立研究院のパスハが来ている。 | ||
パスハ | 「ではこれで。オリヴィエ様の手腕のほど、大いに期待しております」 | |
パスハを見送ると、大鏡の前に立つオリヴィエ。完璧に描いたはずの眉の線が、歪んでいるようだ。 | ||
オリヴィエ | 「『手腕のほど、大いに期待しております』なんて、パスハも言ってくれるじゃないの…」 | |
そこへー | ||
アンジェリーク | 「おはようございます、オリヴィエ様。早速ですけど育成のお願いに」 | |
気付かぬ様子で何やらポーズをとっているオリヴィエ。 | ||
アンジェリーク | 「どうしちゃったのかしら、オリヴィエ様…。両手を上にあげて、何かのおまじない?」 | |
ハッと振返るオリヴィエ。 | ||
オリヴィエ | 「はあい、アンジェリーク。丁度いいところに来てくれたって感じィ?」 | |
アンジェリーク | 「えっ??」 |
◯森の湖(朝)
アンジェリーク | 「オリヴィエ様の方から湖に誘って下さるなんて、もしかしてチャンス到来? ドキ・ドキ・ドキ……」 | |
オリヴィエ | 「これは守護聖としてではなく、あくまで個人的な頼みなんだけど、聞いてもらえるかな」 | |
アンジェリーク | 「な、何でしょうか」 | |
オリヴィエ | 「実はね、パスハから少々厄介な問題が持ち込まれちゃってね…」 |
◯王立研究院
電話で話しているパスハ。 | ||
パスハ |
「…はい、おまかせ下さい。それで試合の期日は、…9月5日ですね。場所はメインアリーナ、…そうですか、全国王がお見えになって観戦なさる、光栄なことです」 |
◯森の湖(朝)
アンジェリーク | 「親善バレーボール大会!?」 | |
オリヴィエ |
「そうなんだ。パスハの故郷の星が今年2千周年記念でね。それで何てゆーか、『星技』っていうの? それがバレーボールなんだよね。で、記念イベントとして、我々守護聖チームに参加してもらいたいってわけ★」 | |
アンジェリーク | 「(うつろに)はあ…」 | |
オリヴィエ |
「パスハには日頃世話になってるし、むげに断れないしね。守護聖が9人ピッタシっていうのも、なんかねえ…」 | |
アンジェリーク | 「9人ピッタシ…」 | |
オリヴィエ | 「そう。パスハの星じゃ9人制バレーが、なぜか大ブレークなの」 | |
アンジェリーク | 「9人制って…もしかしてママさんバレーのことですか?」 | |
オリヴィエ | 「エッ、何!? 今『カマさんバレー』って言った!?」 | |
アンジェリーク | 「い、言いませんよ、そんなこと!」 | |
眉の線がさらに歪んでいるようだ。 | ||
オリヴィエ |
「とにかく、9人制ってことは、守護聖全員、誰一人欠けることなく揃えなきゃならないってことなんだよね…」 | |
アンジェリーク | 「なるほど。話がなんとなく見えてきたわ」 | |
オリヴィエ |
「アンジェリークにはマネージャーとしてぜひ協力してもらいたいんだけど、引き受けてくれるかな?」 | |
アンジェリーク | 「私…。やってみます。だって私、オリヴィエ様の役に立ちたいから」 | |
オリヴィエ |
「サンキュー! 今アンジェリークのことがホント天使に見えちゃったよ。 2人で力を合わせて、いいチーム作っちゃおう!」 |
◯ルヴァの執務室
オリヴィエ登場。 | |||
ルヴァ | 「これはこれは。お茶の時間には少し早いようですがねー?」 | ||
オリヴィエ | 「今日は折り入って頼みたいんだけど!時間がないので単刀直入に言うけど、バレーボール、やってみない?」 | ||
ルヴァ |
「バレーボール…あー、ちょっと待って下さい。…確かバレーボールというのは、ええと、別名排球とも言って、コート中央のネットを挟んで2チームが相対し、ボールを地に落とさないように、手や腕で打ち返し合って得点を競うスポーツ、でしたっけ」 | ||
オリヴィエ | 「はあ…」 | ||
ルヴァ |
「あー、そう言えば何冊か本を持っていたはずです。今取ってきますから、そこへかけて待っていて下さい」 | ||
と、奥の方へ行ってしまう。 | |||
オリヴィエの苦悩は、まだ始まったばかりである…。 |
作者すばるはちゃん太の4半世紀来(!)のお友達です。ほほほ。
某少女漫画雑誌での原作コンテストに入賞したこともあるんだよ。
彼女にアンジェリークSpecialをゆずったら、しっかりはまってくれて、こんな作品が生まれました。
守護聖様がスポーツするお話は時々見かけるのですが、9人制バレーっていうのはたぶん他にはないかと。
全10話ほどになるそうなので、どうぞ続きをお楽しみに。