アンジェポンタン企画

守護聖様たちの9人制バレー


10.クラヴィスは負けず嫌い?

○公園裏の広場

ジュリアスの華麗なCクィックが決まり、盛り上がっている観衆。
ロザリアとサラも並んで見守っている。
サラ 「ジュリアス様って、ホント何をなさっても神々しいわね〜」
ロザリア 「それに比べてクラヴィス様ってば、ずっーとコートの隅で棒立ちなんですもの。
あれじゃあ、まるで線審ですわ!」
サラ 「そういえば試合が始まってから、クラヴィス様の方にボールいかないわね」
ロザリア 「クラヴィス様の周りだけ、あんなに真っ暗な闇が渦巻いて…。ボールも近づくことを許されないんですわ…」
サラ 「ホント。何だか底なし沼っていうか、蟻地獄っていうか」
ロザリア 「サラさん、何もそこまで言わなくても…」
 第1セットは守護聖チームの圧勝に終わる。
アンジェリーク 「皆様、お疲れ様です」
 と、かいがいしくスポーツドリンクを配っている。
オリヴィエ 「サンキュー」
 と、汗にぬれた腕に触れ、少し赤くなってしまうアンジェリーク。それを見て見ぬふりをするジュリアス。
オリヴィエ 「さあ、次のセットもこの調子でがんばるよん」
守護聖一同 「オーッ!!」
 第2セット開始のホイッスル。オリヴィエからオスカーにトスが上がるが、少しネットに近付いた。
オリヴィエ 「しまった!」
 かまわず前飛びで強打するオスカー、とその時グキッという鈍い音が…。
 左足首を押さえて倒れてしまうオスカー。ギャル達の悲鳴。どうやら着地で相手ブロッカーの足の上に乗ってしまって捻挫したようだ。
オスカー 「ウッ…」
オリヴィエ 「アンジェリーク、救急箱!」
アンジェリーク 「はい!」
 コールドスプレーをオスカーの足に吹きつけるオリヴィエ。
オリヴィエ 「ダメだな、腫れてきた」
オスカー 「何のこれしき」
オリヴィエ 「その足でスパイクは無理だろう」
オスカー 「打ってみせるぜ。剣にかけても」
 と、よろめきながらも立上がる。
 観衆の拍手に応え、投げキッスをひとつ贈るオスカー。
アンジェリーク 「大丈夫なんですか?」
オリヴィエ 「わからないね。でもオスカーはああなったら止められないだろう」
 試合再開。当然ながら、オスカーのスパイクはブロックにあい始めた。ランディとのクィックのタイミングも微妙にズレて決まらない。
 リードを許してしまう守護聖チーム。
マルセル 「元気出しましょうよ!」
そんな時、よりによってクラヴィスの方へボールが飛んでくる。ボールは全く動じないクラヴィスの頭に直撃。大きくはね返ってコートの外へ。
ロザリア 「ああ、もう、見てられない」
ルヴァ 「そうですねー、あの角度だと…」
と、俊足をとばしてボールの方へ走る。
ランディ 「スゴイ! もしかしたら追いつけるかもしれないぞ」
ゼフェル 「よっしゃー」
 と、ルヴァの方へ走り出す。
 ボールの落下地点で待っているルヴァ。だが彼はなんとボールをキャッチしてしまった!
ルヴァ 「うーん…力学という学問の素晴らしさを、改めて実感しますねー」
ゼフェル 「あのバカ! ボール取っちまってどーすんだョ!」
そんなこんなでいつのまにか十点も差がついてしまっている。
 オスカーの真後ろに突然影のように現れるクラヴィス。
クラヴィス 「もうそろそろよかろう」
オスカー 「! クラヴィス様…」
クラヴィス 「お前はケガ人だ。それ以上のムリは執務にもさしさわろう」
オスカー 「ですが、ここで試合をやめるわけには…」
クラヴィス 「もちろんだ。気は進まぬが、私がお前になり代わってスパイクしよう」
あっけにとられる守護聖たち。
さらに追い打ちをかけるように、バッとマントを脱ぐクラヴィス。マントの下はユニフォーム姿で、しかも超ミニの短パンをはいていた!
クラクラしているロザリア。
一方、アンジェリークはクラヴィスの左肩に”みかん色のリボン”がペイントされているのを発見していた。
アンジェリーク 「やっぱりロザリアも、スモルニィ女学院での噂を信じていたのね。
――みかん色のリボンで結ばれた二人は決して離れることはない」
 リボンの刺繍入りの衿を立て、オリヴィエがクラヴィスに近付く。
オリヴィエ 「で、クラヴィスはどんなトスがお好み?」
クラヴィス 「あまり、好き、嫌いというものはないのだが、そうだな、水晶のように澄んだトスが希望だ」
オリヴィエ 「…まあ、やってみましょう。とにかくやる気になってくれてうれしいよ」
クラヴィス 「フッ…やる気などはない。ただ、勝負というものは、勝っておかなければ真に安らげぬのでな」
ゼフェル 「ちっ、ただの負けず嫌いじゃねーかよ」
キッとゼフェルをにらみつけるクラヴィス。果たして守護聖チームの切札となるか、それとも――。

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ああ、いよいよ残りあと1回まで来てしまいました。
すばるの闇様は、けっこうアクティブでお茶目な方ですよね〜。

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