ルヴァ様コスプレシリーズ
CAST・11
 「永遠」


<お話の背景>
  祖国を求めて旅を続けているプリンセス・プリンプリンと仲間たち。
  一行はネッシー号船長のトントンの国、タンガラトントンに到着した。

<登場人物>

ルヴァ・トントン タンガラトントン国のプリンス
アンジェ・プリンプリン 祖国を探し求めるプリンセス、15才
ランディ・ボンボン プリンプリンの旅の仲間その1
ゼフェル・カセイジン プリンプリンの旅の仲間その2
マルセル・オサゲ プリンプリンの旅の仲間その3
ジュリアス・ランカー 武器商人、プリンプリンのストーカー
オスカー・007ヘンナキブン ランカーお抱えのおとぼけ工作員

○タンガラトントン国・とある一室

ルヴァ・トントンが落ち着かない様子で歩き回っている。
ルヴァ・トントン 「あー、今日はとうとうプリンプリンに一大告白しなければいけませんねー、声が裏返らずに上手く話せますかねー。今からこんなにエネルギーを消耗していて大丈夫なんでしょうかねー、私は…」
と、部屋の隅にある等身大のボックスの中に入ってしまう。
そこへサッとしのび込むオスカー・007ヘンナキブン。
オスカー・007ヘンナキブン 「(TV電話を取出し)007ヘンナキブンからランカー様にご報告」
ジュリアス・ランカー(TV画面) 「そなたよりの報告を待っておった。我が愛しのプリンプリンの居場所はつかめたのか?」
オスカー・007ヘンナキブン 「ランカーの親分様、そう簡単にはまいりません。何しろこの国は、私の守備範囲外の老婆ばかりでして、なかなか情報収集が難しいのです」
ジュリアス・ランカー(TV画面) 「手ぬるいぞ!私の純情一路を貫くためならば手段は選ばぬ。必ずや良き報告をもってまいれ」
オスカー・007ヘンナキブン 「はっ、承知致しました。以上、報告終わります」
と、ルヴァ・トントンがボックスから出てきたのを見てあわてて隠れる。
ルヴァ・トントン 「おやあ? 何だか誰かに見られているような…。気のせいですかねー、うんうん」
と、去っていく。
再び現れるオスカー・007ヘンナキブン、好奇心にかられてボックスに入ってみると――突然バリバリと音がして、真っ黒こげになってしまうのだ!
オスカー・007ヘンナキブン 「何てこった。色男が台無しになっちまったゼ…」
と、バッタリ倒れ込む。

○同・遊園地

ジェットコースターや観覧車を見てはしゃぐアンジェ・プリンプリン一行。
ランディ・ボンボン 「楽しみだなあ。最初にどれに乗ろうか?」
ゼフェル・カセイジン 「バーカ、ガキみたいにうかれてんじゃねーぜ。オレに言わせりゃ一昔前のちゃちなマシンばっかだぜ」
マルセル・オサゲ 「カセイジンたら又そんなこと言って。素直じゃないんだから」
と、ゼフェル・カセイジンの耳がピクピクと動き始める!
マルセル・オサゲ 「まさか、それって…」
ゼフェル・カセイジン 「期待させて悪かったな。今のは予感じゃないぜ。あー、腹減った。タコスでも食いに行くか」
と去っていく。慌てて後を追うランディ・ボンボンとマルセル・オサゲ。
後に残ったのはアンジェ・プリンプリンとルヴァ・トントンの二人だ。
ルヴァ・トントン 「(滝汗で)あー、どうです、私と一緒に観覧車に乗りませんか?プリンプリン」
アンジェ・プリンプリン 「ええ…」

○同・観覧車のゴンドラの中

ルヴァ・トントン 「(ハァハァ言いながら)いいですか、プリンプリン、心を落ち着けてよーく聞いて下さいよー」
アンジェ・プリンプリン 「いやだ、落ち着いた方がいいのはトントンの方じゃない?」
と、いつ用意したのか湯呑みをサッと取出してルヴァ・トントンに渡すのだ。
アンジェ・プリンプリン 「熱いお茶でも飲んで、それからゆっくりお話しましょう」
と、せんべいまでかじり出す始末だ。
アンジェ・プリンプリン 「(せんべいを頬ばりつつ)私、トントンが言おうとしていること何となくわかるのよ、『プリンプリン、このタンガラトントンが君の祖国だ!』とか何とか…」
その瞬間ブーッとお茶を吹き出してしまうルヴァ・トントン。
ルヴァ・トントン 「どうしてそれを?!」
アンジェ・プリンプリン 「だってそれって私を誘惑する常套手段でしょう? これだけ長い間旅をしていたら、いくら私だってわかっちゃう」
ルヴァ・トントン 「はあ…そんなものですかねー。でもね、プリンプリン。私の言いたいことはまだあるんですよ…」
と、汗の量がさらにハンパでなくなる。
ルヴァ・トントン 「こんな私なんですが、じ、実は…(とうとう声が裏返り)ロボットなんです!!」
アンジェ・プリンプリン 「そんな! 嘘よ、だまされないわ!」
と、あまりの驚きにゴンドラが激しく揺れ出す。

○同・観覧車の下

揺れるゴンドラにいち早く気付くマルセル・オサゲ。
マルセル・オサゲ 「ねぇ見てアレ! あのゴンドラだけすっごく揺れてるよ」
ランディ・ボンボン 「わあ面白そうだなあ〜」
ゼフェル・カセイジン 「そんなこと言ってる場合か! ガルルルル…予感がしてきやがるぜ。あのゴンドラの中でトントンがプリンプリンに何かしようとしてやがんだっ」
ランディ・ボンボン
&マルセル・オサゲ
「(なぜか抱き合って)エーーッ!!」

○元の観覧車のゴンドラの中

少し揺れがおさまっている。
ルヴァ・トントン 「すみませんねー、急に変なこと言っちゃいましたかねー」
アンジェ・プリンプリン 「だって信じられない…ロボットがそんなに汗ダラダラになったり、声が裏返ったりしなくない?」
ルヴァ・トントン 「貴方のおっしゃる通りです。次世代ロボットの制作時にはぜひこれらの機能は削除してもらいませんとねー、うんうん」

○タンガラトントン国・港

停泊しているネッシー号を見つめながら一人ぼんやりとしているアンジェ・プリンプリン。
そこへ音もなく現れるオスカー・007ヘンナキブン。
頭爆発状態なままカッコだけはつけている。 
オスカー・007ヘンナキブン 「どうした、お嬢ちゃん。何か悩み事なら力になるぜ」
アンジェ・プリンプリン 「私…自分で自分がわからない。ネッシー号に乗っていた時には、トントンのことあんなに頼りにしていたのに、彼がロボットだって知ったとたん、何だか気味が悪くなってしまって…」
オスカー・007ヘンナキブン 「『不気味の谷』…『動く死体』…」
アンジェ・プリンプリン 「えっ、何?」
オスカー・007ヘンナキブン 「言っておくがそれはお嬢ちゃんが悪いんじゃあない。
ロボットの外見が人間に近づくにつれ、ある一点で親近感が落ち込むポイントがあることがわかっている。いわゆる『不気味の谷』と呼ばれる奴だな」
アンジェ・プリンプリン 「『不気味の谷』…」
オスカー・007ヘンナキブン 「そう。つまりだ、お嬢ちゃんは今どうしても彼のことがロボットというよりも『動く死体』のように見えてしまっているんだ」
アンジェ・プリンプリン 「教えて下さい、私は一体どうすればいいんですか?」
オスカー・007ヘンナキブン 「心配はいらないさ。谷はいつかは越えられるもんさ」
アンジェ・プリンプリン 「…早くそうなればいいんだけど。トントンは言ったんです、『私と結婚するためにロボットになる手術を受けて下さい、そうすれば貴方は永遠の命を授かるでしょう』…永遠の命…永遠…永遠って何なんでしょう?」
オスカー・007ヘンナキブン 「永遠…とこしえ…不朽…フォーエバー、マイラヴ」
と、アンジェ・プリンプリンの手をとるが、
アンジェ・プリンプリン 「(頭を凝視して)そう言えばいつからちりちりパーマにしちゃったの? 正直似合ってないみたい」
オスカー・007ヘンナキブン 「お嬢ちゃん、それだけは言わない約束だぜ」
と、再びバッタリ倒れ込む。
その上を踏み越え踏み越えやって来るランディ・ボンボンたち。
ランディ・ボンボン 「プリンプリン! ずい分探したよ」
アンジェ・プリンプリン 「ごめんね、みんな」
ゼフェル・カセイジン 「おいプリンプリン、早くここから脱出した方がよさそうだぜ」
マルセル・オサゲ 「ぼくもそう思う。トントンの様子も変だし…」
胸に手を当てしばらく考えるアンジェ・プリンプリン。
アンジェ・プリンプリン 「わかった、そうするわ。でもここを出る前に、もう一度ちゃんとトントンと話しておきたいの」

○同・ロボトミー手術室

一人佇むルヴァ・トントン。
息を切らせ走ってくるアンジェ・プリンプリン。
ルヴァ・トントン 「プリンプリン! まさか貴方が戻ってきて下さるなんて…」
アンジェ・プリンプリン 「トントン、私戻ってきました。ロボットの貴方にちゃんとお別れを言うために」
ルヴァ・トントン 「(眼に涙を浮かべ)そうですか。貴方は認めて下さったんですね。ロボットが人を好きになるってことをね…」
アンジェ・プリンプリン 「ええ。私ちゃんと考えたわ。ロボットになって永遠の命を授かってトントンと結婚するってこと。考えていたら一つわかったことがあるの」
ルヴァ・トントン 「わかったこと?」
アンジェ・プリンプリン 「上手く言えないけど、私たち人間にも『永遠』と呼べる何かがあると思うの。それはきっと、トントンの言ってる『永遠』と、そんなに違わない気がするの」
ルヴァ・トントン 「プリンプリンの中にも『永遠』が…」
アンジェ・プリンプリン 「ごめんなさい。今の私はトントンの気持に応えられないけど…でもね! ロボットが人を好きになるのなら、人がロボットを好きになることだってあると思うわ! そういう奇特っていうか希有っていうか…ウ〜ン…!『天使みたいな人』がいつかきっとトントンの前に現れるから!」
と、疾風の如く去っていくのだ。
一人残ったルヴァ・トントンのそばに寄ってくるロボット達。
ルヴァ・トントン 「あー、初めまして。私は先輩ロボットのトントンと申します。あなた達に恋のし方を教えてあげましょう」

○同・港

港を離れるネッシー号。

○ネッシー号の中

ランディ・ボンボン 「次はどこへ行くんだい? プリンプリン」
アンジェ・プリンプリン 「ガランカーダよ!」
ゼフェル・カセイジンの耳がピクピクと動き始める。
ゼフェル・カセイジン 「今度こそいい予感がしてきやがるぜ」
マルセル・オサゲ 「ホント? 又お腹がすいたんじゃないの??」
ゼフェル・カセイジン 「おめーと一緒にすんじゃねーよ」
一同の笑い声が船内に響き渡る。

○タンガラトントン国・港

消えていくネッシー号に手を振るルヴァ・トントン。
ルヴァ・トントン 「プリンプリン…もしかしたら、本当に『永遠』が欲しかったのは私たちロボットだったのかもしれませんねー、うんうん」

CAST10へ       

だいぶ前にプリンプリン物語の再放送をやっていて、富山敬ボイスキャラが出てきたんよ。しかも渋くてめっちゃかっこええ役。
で、そのうち書くね…と言っててえらい年数たっちゃいました。

例によってジュリアスが悪役になっています。オスカーがおいしい役どころかと。
プリンプリンの守り神的存在のモンキーが本当はいるのだけど、「キーキー」しか言わないので今回は割愛しました、念のため。(すばる)

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