ルヴァ様コスプレ劇場

CAST4   テリー(キャンディ・キャンディ)
      「危険な香り」


<お話の背景>
   アードレー家の養女になったみなし子キャンディは、ロンドンの聖ポール学院で、寄宿舎生活を始めた。そこでキャンディは、孤独な少年テリーと出逢う。

<登場人物&キャスト>

テリー・ルヴァ  
キャンディ

 


○聖ポール学院・裏庭

 草むらからモア〜ッと煙が立ちこめている。
キャンディ 「テリュース=ルヴァ=グランチェスター!」
驚いて起き上がるテリー=ルヴァ。
クスクス笑いながらキャンディ登場。
キャンディ 「テリーったら又授業さぼって」
テリー・ルヴァ 「あー、キャンディだったのですかー。おどかさないで下さいよー」
 タバコの煙かと思いきや、立ちこめているのは湯呑茶わんからの湯気だった。
テリー・ルヴァ 「キャンディもここにすわって、一緒にお茶などいかがですかー?」
キャンディ 「あらあたしまでさぼらせる気?」
テリー・ルヴァ 「そんな…。あなたにはさぼっているようにしか見えないのでしょうが、これでも頭の中では脳が高速に働いているのですよー」
キャンディ 「それで、何を考えていたの?」
テリー・ルヴァ 「!…こんなこと言ってしまってよいのか…あー、実はあなたのことを考えていたのですよー」
キャンディ 「あたしのこと?」
テリー・ルヴァ 「そう…あなたとアンソニーのことを…」
キャンディ 「アンソニー…」
 と、表情をくもらせる。
テリー・ルヴァ

「先日、五月祭でダンスをした折、あなたは『この曲、アンソニーと初めて踊った曲なの』と言って、とても悲しい目をしました。その時私は、なぜだか胸が急に熱くなって、あなたにあんなこともこんなこともしたかったのですが、持ち前の理性で何とか押しとどめました…」
キャンディ 「あんなこと、こんなこと?…」
テリー・ルヴァ 「それでそのー、あれからずっと考えていたのですよ。どうすればあなたが、亡くなったアンソニーのことを忘れることができるのだろうかと」
 と、ふと見上げるとターザンのように木々の間を飛び移っているキャンディ。
キャンディ 「キャッホー!」
テリー・ルヴァ 「うー、どうして私は、あのようなサルの如き女性に心を奪われてしまったのでしょう?」

○スコットランド・テリーの別荘(夜)

 いつものように湯呑で緑茶をすすりながら読書中のテリー=ルヴァ。
テリー・ルヴァ
「『危険な香りのする男ー女というものは例外なくそういう男に惹かれる。爪を隠し、いつ跳びかかってくるかわからない男に』…なるほど。そういうものなんですかねー、うんうん」
 と、お茶を飲みかけ、何かひらめいた様子である。
テリー・ルヴァ 「少々荒療治かもしれませんが、試してみる価値はありそうですねー」

○テリーの別荘(数日後)

 いそいそとお茶の用意をしているテリー=ルヴァ。
キャンディ 「さすが貴族の別荘って、まるでお城みたい」
テリー・ルヴァ 「よく来てくれましたねー」
キャンディ 「エルロイ大おばさまと一緒だと息がつまっちゃうから、お言葉に甘えて来ちゃったわ」
テリー・ルヴァ 「キャンディ、今日はあなたのためにとっておきのお茶と歌を用意してありますからね」
キャンディ 「とっておきのお茶と歌?」
テリー・ルヴァ 「まずはお茶からお入れしましょう。いいですか、キャンディ、おいしいお茶を入れるには、お湯の温度が95〜98度がいいんですよー」
キャンディ 「そ、そうなの…」
 × × × 
 カップから湯気が立ちのぼっている。
キャンディ 「何ていい香り…」
テリー・ルヴァ 「でしょう? あー、この紅茶はですねー、ハイビスカスとモーブの花びらが入っているんですよー」
キャンディ 「何だか不思議の世界に迷い込んだような気持よ」
テリー・ルヴァ 「この紅茶の名前、知りたいですか?」
キャンディ 「ええ、聞きたいわ」
テリー・ルヴァ 「うー、実はねー、エ・ロ・スっていうんですー」
 と、流し目なんぞしたりする。
テリー・ルヴァの心の声 「少しは『危険な香りのする男』を演じられてますかねー」
キャンディの心の声 「こんなテリーはじめて。
 テリーが…気持悪いー」
さらに追い打ちをかけるようにギターを持ち出し、弾き語りを始めるテリー。
テリー・ルヴァ
「♪あしたはどこから生まれてくるの 私はあしたが あしたがすき
  すてきなことがありそうで 私はあしたが  あしたがすき〜」
 歌い終わって満足げにギターを置くテリー。
テリー・ルヴァ
「キャンディ、アンソニーは、死んだ人は決して戻ってくることはないのです。あー、私は、あなたには、あしたに向って歩き出してほしいのですよ…って、キャンディ!?」     
既にキャンディの姿はなく、窓が開け放しになっている。どうやら抜け出したようである。
テリー・ルヴァ 「うーん、できればアレだけは使いたくはなかったのですが、どうやらそうもいかないようですねー」
と、テリーの目がキラッと光る。

○聖ポール学院・馬小屋(夜)

 ロウソクを持ってキャンディがおそるおそる入ってくる。
キャンディ 「どうしたの、テリー。こんな夜に呼び出したりして。シスターグレイに見つかったら2人とも退学よ」
どこからともなく流れてくるインド音楽。そしてよーく見ると、床一面に敷きつめられている色とりどりのお香。
テリー・ルヴァ 「…ものの本によりますれば、香りはいにしえより『高雅な感覚芸術』として、人々に祈りの心を伝えてきたのだそうです」
キャンディ 「何をするつもり?」
テリー・ルヴァ 「あー、こわがることはないのですよ、キャンディ。さあ、そのロウソクの火をこちらへ」
と、キャンディの手に自分の手をそっと重ねると、床のお香に次々と火をつけていくのだ。
小屋の中にはいくすじもの煙が立ち、異様な臭覚におそわれるキャンディ。
キャンディ 「ウッ」
と、鼻をつまんで、鼻ペチャをさらに進化させるのだ。
テリー・ルヴァ 「きっとこの香りがあなたの心を癒してくれることでしょう、うんうん」
テリー・ルヴァの心の声 「そしてさらに、甘く危険な香りが、あなたを待っていることでしょう…」
 と、キャンディに流し目。
キャンディの心の声 「テリーが…本格的に気持悪いー」

○馬小屋(朝)

 わらの上で寝ているテリー。その顔にはキスマークならぬ、キャンディのビンタの手のあとがいっぱい。
 そして妙に仲良さげに鼻をすり合わしている馬たちがいる。
テリー・ルヴァの寝言 「…わざわざインドより取り寄せたお香が、まさか『動物専用』だったとは…。ムニャムニャ…」

                 挿入歌・「あしたがすき」(JASRAC許諾J040310425)


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前回の反動で、キャンディとテリーの二人芝居でいくぞっ!と決心してできたのがこれ。
なんかテリーファンに殴られそう…ああ、ルヴァコメ道はいばらの道じゃー(@o@)(すばる)

……て、ルヴァファンに殴られるっていう心配はしていないのね。だって愛だもん、ってことで。
全国の「キャンディ」に甘い思い出を持つお嬢ちゃんたちを敵に回してしまったような気も少ーしするけど(^^;;
どうか笑って許して下さいませ。

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