ルヴァ様コスプレ劇場

CAST7    ヘイスティングス(名探偵ポワロ)
      「探偵の相棒」


<お話の背景>
  エジプト墳墓の発掘にまつわる一連の死は、墓を汚した者へのメンハーラ王の呪いなのか。
  ポワロとその相棒ヘイスティングスがその謎に挑む!

<登場人物&キャスト>

ルヴァ・ヘイスティングス 陸軍大尉 ポワロの親友
エルキュール・ポワロ 私立探偵
ロバート・エイムズ  医学博士
トスウィル博士 大英博物館勤務の学者
ガイ・ウィラード卿 ジョン・ウィラード卿の息子
ジョン・ウィラード卿 考古学者。メンハーラ王墳墓の発見者で第1の死者
ブライブナー 富豪。メンハーラ王墳墓の発見者で第2の死者
ルパート・ブライブナー ブライブナーの甥で第3の死者
シュナイダー博士 メトロポリタン博物館勤務の学者で第4の死者
ハッサン エジプト現地人の召使い

 


○エジプト・砂丘

らくだに乗って上機嫌なルヴァ・ヘイスティングスと、対照的に不機嫌そのもののポワロ。
ルヴァ・ヘイスティングス
「うーん、ここは何と素晴らしい所なんでしょう、ポワロさん。こんな所で、消え去った文化の奥底を探っているだなんて、考えただけでもワクワクするじゃありませんかねー」
ポワロ 「ノン! 服は埃まみれ、靴の中は砂だらけ、おまけにこの暑さで口髭はクニャクニャ…もう最悪ですよ」
ルヴァ・ヘイスティングス 「砂の上って妙に落ち着くんですよねー、うんうん」

○メンハーラ王墳墓発掘現場

ポワロ達を出迎えるトスウィル博士。
トスウィル 「あなた方のお着きになるのを、今か今かと待ちわびておりました」
さっと青ざめるポワロ。
ポワロ 「まさかまた誰かが亡くなったんでは」
トスウィル 「!…実はそうなんです。私の仲間のシュナイダー氏が、破傷風で」
ルヴァ・ヘイスティングス 「えー、これで4人目ですねー。やはり『メンハーラの呪い』なのでしょうか…」

○ガイ・ウィラード卿のテント

ガイ卿とエイムズ医師に紹介されるポワロ達。
ガイ 「何が起ころうと、この仕事は続けるつもりですが、おびえがないと言えばウソになります」
ポワロ 「エイムズ医師、確認のためお聞きします。ジョン・ウィラード卿が心臓麻痺、ブライナー氏が敗血症、そしてシュナイダー氏が破傷風で亡くなったことに間違いはありませんね?」
エイムズ 「絶対間違いありません」
ルヴァ・ヘイスティングス
「あー、ということはですねー、ルパートさんはピストル自殺なわけですから、4人ともまるで違った原因で亡くなられたわけですねー」
ポワロ 「この4人は王の霊に対して不敬をはたらいたんじゃありませんか?」
エイムズ 「御冗談を! 悪霊の仕業とでも、おっしゃるのですか?」
ルヴァ・ヘイスティングス
「あー、先日も海の神の祟りで、4軒の家が沈むという事件が報告されています。この世には人知の及ばぬものが数多くあるんじゃないですかねー、うんうん」

○ポワロのテント(夜)

『エジプト人の魔法』と書かれた古本を熱心に読むヘイスティングス。
戻ってきて、服の埃をプラシでていねいに落としているポワロ。
ルヴァ・ヘイスティングス 「遅かったですね。あー、それで何かわかったんですかあ?」
ポワロ 「ウィ。ルパートはエイムズやシュナイダーと以前から面識がありました。それからもう一つ、ここにいた時、ルパートはすこぶる元気でした。ちょっとした皮膚のかぶれをのぞけば」
ルヴァ・ヘイスティングス 「それが何か?」
ポワロ 「ヘイスティングス、ルパートの遺書は何と書いてありましたか?」
ルヴァ・ヘイスティングス 「えー、確か『死んだ方がましだ』と」
ポワロ 「ノン、そこじゃありません。その前に『自分は死病だ』と書いていたでしょう」
ルヴァ・ヘイスティングス 「! さすが、いいとこついてますねー。で、それが何か?」
ポワロ 「(ブラシを投げ捨て)何だか灰色の脳細胞が痛くなってきました。私は寝ます」
ルヴァ・ヘイスティングス 「あー、そうですかー。どうかよい夢を。スフィンクスなんか、出てくるといいですねー」

○発掘現場(翌日)

アラビア人のハッサンとこそこそと話をしているポワロ。
ルヴァ・ヘイスティングス 「(ハッサンを見送り)まさかジャスミンの丘に誘ったんじゃないでしょうね、ポワロさん」
ポワロ
「君以外誘いませんよ、ってふざけている場合じゃありません。いいですか、第5の犠牲者を出さないために、今夜私は犯人を警告するつもりです」
ルヴァ・ヘイスティングス 「えーっ、犯人もうわかっちゃったんですかあ?」

○ガイ・ウィラード卿のテント(夜)

 夕食をとっているポワロ達。
 突然悲鳴をあげるガイ。
ガイ 「い、今、テントの外に黒い大きな影が」
 外に出ると、犬の頭をしたものの姿が向いのテントに消えるのが見えた!
ポワロ 「犬の頭をしたアヌビス。死神だ」
エイムズ 「誰かのいたずらでしょう」
ポワロとエイムズの視線がからみ合い、火花を散らす。
ルヴァ・ヘイスティングス 「向いのテントはエイムズさんのじゃありませんかねー」

○エイムズのテント(夜)

砂の上に様々な図形や文字を書いているヘイスティングス。
ルヴァ・ヘイスティングス 「この魔法で、エイムズさんについた悪霊を、あー、うまく払えればよいのですがねー」
 と、釣り竿を取出し、呪文を唱えつつ振回し始める。
ルヴァ・ヘイスティングス 「…月の曜日はジュリアス、金髪なびかせお説教、楽しい月の曜日、楽しい月の曜日…」
と、釣り竿の先に一枚の紙切れが引っ掛かる。
ルヴァ・ヘイスティングス

「えー、何ですか、これは。
『溺れかかった僕を救ってくれた良き友ロバート・エイムズに僕ルパート・ブライブナーの遺産の全てをゆずる』ですって! エイムズさん、あなたは何て勇気のある方なのでしょう!」
ポワロ 「ノン! ヘイスティングス、君は又着眼点がずれています。大事なのは『遺産の全てをゆずる』という箇所。つまりそれはエイムズが、ブライブナー氏及びルパートを殺すにいたった動機なのですよ!」
エイムズ 「クソいまいましいヒゲ野郎め!」
ルヴァ・ヘイスティングス

「ポワロさん、あなたという人は…今日という今日は言わせていただきますよー。あー、人に正しいことを言う場合は、もっと控え目に言わなければいけないのです! 正しいことを言うと相手は傷つくということを、あなたは知らなければなりません。ね、エイムズさんだっていたく傷つかれたでしょう?」
エイムズ 「…負けたよ。ポワロはともかく、ヘイスティングスさん、あんたは殺せない」

○ガイ・ウィラード卿のテント(翌日)

トスウィル 「…ということは、ルパートは皮膚のかぶれをエイムズに死病と診断されて、つまり本当は何でもなかったのに、自殺してしまったんですか…」
ポワロ 「そうです。ジョン卿の死は自然死でした。だが呪いだと騒がれたことから、エイムズは殺人計画を立てたのです。まず、ブライブナー氏に病菌を植えつけて殺し、さらにルパートを自殺に追いやる」
ガイ 「そうすれば例のルパートが酒の席で冗談半分に書いた遺書の通り遺産が相続できますからね。じゃ、シュナイダー氏は?」
ポワロ 「ブライブナー氏と同じ手口でエイムズがやったのです。殺人者という奴は、くり返してみたいという欲望にかられるのが常なのですよ」
ガイ 「ポワロさん、さすがは名探偵ですね」
ポワロ 「ノン、ノン! 今回の主役は何といっても、ヘイスティングスでしょう」
トスウィル 「彼が、ですか?」
ポワロ 「ウィ。夕べ、私はハッサンに犬の頭をつけた扮装までしてもらって、エイムズにこれ以上罪を重ねないよう警告しました。だが、彼はひるむことはなかった」
ガイ 「僕達が見たアヌビスはハッサンだったんですか…」
ポワロ 「私は殺人者を見つけることはできましたが、殺人を止められなかった。もしかしたら、探偵の相棒として最高なのは、殺人を止められる人物かもしれません」
 と、お茶を持ってヘイスティングスが入ってくる。
ルヴァ・ヘイスティングス 「さあ皆さん、私の入れたとっておきのお茶で、事件解決を祝って乾杯をいたしましょう」
ポワロ 「ウィ。モナミ」

ポワロシリーズの数ある短編の中から、悩んだ末に「エジプト墳墓の謎」をパロってみました。
原作を知ってる人には、「話、変わってるやん」と突っ込まれ、知らない人には「ようわからんのですけど」とブーイングが出そうなほどハショってるかも。
でも個人的にこのルヴァ・ヘイスティングスというキャラ、結構好きになっちゃったです、はい。(すばる)

「でも、私、ヘイスティングスは脇役なので、 今回もオールキャストなのかと思っていたのです。残念。」
などと言ってみると……
「最初は色々考えてみたんだけどねー。やっぱりあの方々をヒゲ&ハゲにはできんかった……」なるほどね。
要はポワロがネックなのね。でも一番ポワロ似合いそうなのは……セイラン?(逃走)

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