08:境界
なんか悔しい。
オレとあいつらの間、絶対オレが踏み込まれへん目に見えへん境界があるねん。
瑞稀はゆーたらアメリカ帰りらしい気のええ(フランクゆーんか?)奴やけど、その分プライバシーっちゅうかそういうののガードがめっちゃ堅い。
いや正直初めはそれほど思えへんかってんけど、好きやって気ぃつきはじめたらいろんな事目に付くようになってきて。
あいつ愛想ええけどホンマはココの誰にも気ぃ許してへんのと違うかとか。
…それから、あいつの視線がいっつも誰を追うてるかとか。
まあ実際あいつは、その、泉のこと追いかけてはるばる海の向こうから来たような根性の奴や。
せやけど、本人の言うてる「憧れ」、それだけちゃう。
絶対ちゃうねん。
あれは、憧れなんかやのうて。
…泉も泉や。
自分が瑞稀のことどんな目ぇして見てるか気ぃついてへんのやろか。
ああ、せめて瑞稀と同室なんがオレやったらよかったのに。
203と205の二つの部屋の間の壁は、ぱっと見より相当ぶあついらしいわ。