フリスビー刑事チャーリー編
第1話情報屋の掟


○七聖警察署・捜査課

係長デスクで、髪をふり乱して怒っているオリヴィエ係長。
オリヴィエ 「ちょっと、フリスビーったら朝お使いに出したら、それっきり帰ってきやしないじゃないのっ」
オスカー 「『フリスビー』なんて名前を付けたからじゃないのか?」
オリヴィエ 「あらそれって随分じゃないのさ。
 そんなこと言うんだったらアンタの昔の名前、バラしてやる!」
大慌てでオリヴィエの口を塞ぎにかかるオスカー。
オリヴィエ 「ヴグググ…」
オスカー 「約束を破るつもりか? 男として失格だぜ」
リュミエール 「…そう言われたら聞いたことありませんでしたね。オスカー様の昔の名前って」
と、電話のベル。
リュミエール 「はい、こちらは七聖警察署・捜査課と申しますが…」
ランディ 「大変です、先輩!」
リュミエール 「どうしたのですか? フリスビー、そんなに慌てて」

○拘置所前の道路

トラックに突っ込まれ、横倒しになって炎上している護送車。
パニック状態の中、ケータイで電話しているランディ。
ランディ 「たった今、リッキーの乗った護送車が交通事故に巻込まれて…リッキーが、あいつが、死にました」
と、涙がこぼれ落ちる。

○リッキーの葬儀場(朝)

ブラックスーツに身を固めた七聖署の面々。
ランディ 「淋しい葬式ですね」
オスカー 「弔問客のほとんどが麻薬課の連中じゃないのか」
オリヴィエ 「そうそう。だからヤク友達が顔出せなくなっちゃう」
リュミエール 「先ほど麻薬課の方と少しお話をしたのですが、麻薬組織解明の手がかりが途絶えてしまったと肩を落とされていて、もう少しでお悔やみを言うところでした」
オリヴィエ 「手がかりっていうのは、バレーボールのスパイクレシーブと同じでね、待ってるもんじゃない。自分から取りにいかなくちゃね(と、オスカーに目配せ)」
オスカー 「だとさ。じゃそろそろ仕事に戻るか。いくぞ、フリスビー」
ランディ 「は、はい…」
 と、オスカーを追いかけていく。
リュミエール 「係長は、今度のことをただの事故だとお考えなのでしょうか?」
オリヴィエ 「さっすがリュミちゃん☆ ローズマリーティの頭脳明晰効果かなあ?(と、急に真顔になって)事故の経緯、詳しく探ってみてくれる?」
リュミエール 「承知致しました」

○下町の袋小路

煙草をくゆらせながら歩いていくオスカーの後を、キョロキョロしながらついていくランディ。
ランディ 「どこへ行くんですか? 先輩」
オスカー 「ここだよ」
袋小路の突き当たりにあるコテージ風の店―『情報屋』の看板が掲げてある。
ランディ 「冗談みたいな店ですね」
オスカー 「店主もまた冗談みたいな男さ」
と、ドアをノックする。
ドアの小窓が開き、鼻メガネの男の顔の一部が見える。
チャーリーの声 「このケムリは…オスカーはん!」
オスカー 「よう、久しぶりだな、チャーリー」
チャーリーの声 「オスカーはんが来やはったってことは、新人さんでっか?」
オスカー 「そういうことだ。(と、ランディの耳を引張り)コイツ、フリスビーっていう奴なんだが、まあよろしく頼むよ」
ランディ 「な、何するんですか!」
チャーリーの声 「元気一杯の坊ややなあ。楽しみにしとりますわ、ヒャヒャヒャ…」
オスカー 「じゃ俺はこれで帰るからな。後はフリスビー、お前の仕事だ」
ランディ 「仕事って…」
オスカー 「この店の看板『情報屋』は正真正銘偽りなし!だぜ。この俺が保証する。お前の仕事は、リッキーに関するあらゆる情報をゲットすることだ、たとえ何日かかってもな。グッドラック」
と、ウインクすると去っていく。
ランディ 「『何日かかっても』って。バカにしすぎだよ、先輩…」
チャーリーの声 「せやろか…。ところで、フリスビーはん、あんさん、本名は?」
ランディ 「俺、ランディって言います! やっぱり『フリスビー』は変ですよね?」
チャーリーの声 「せやないねん。俺も七聖署とはゆーても長い付合いやさかい、新人刑事が一人前になるまで本名で呼んでもらわれへんいうキツーイ掟、よう知ってるねん」
ランディ 「はあ…」
チャーリーの声 「でな、もひとつ言わしてもらうと、この『情報屋』にもあるんやなあ、その掟、いう奴が」
ランディ 「また、変な名前が…」
チャーリーの声 「ちゃうちゃう。簡単なテストや。そのテストに合格したら、初めてこのドアが開けられる。そういうこっちゃ」
ランディ 「…わかりました。じゃ早速そのテストの問題を出して下さい!」
チャーリーの声 「潔い返事やねえ。新人はそうやないと。ほな、問題出すでー。『刑事に必要不可欠な3コミ、とはキキコミ、ハリコミ、そしてもう一つは?』」
ランディ 「うーん…」
と、腕組みして考えている。
ランディ 「わかった! フミコミ!」
チャーリーの声 「ブーーッ。残念やったなあ、フリスビーはん。ほなまた明日」
と、ドアの小窓がピシャッと閉まる。
ランディ 「フミコミだよ。間違いないよ! チャーリーさん!」
と、ドアをドンドン叩く。
チャーリーの声 「おっきゃくさーん。答は1日1個て決まっとるし、かんにんな」
大いに首を傾げながら帰っていくランディ。

○七聖警察署・捜査課(夕)

ランディ 「えっ、ひねりを入れる?」
オスカー 「そうさ。ただの『フミコミ』じゃ奴にとっちゃ面白くとも何ともない。これは俺様からのあったかーいアドバイスだからよく聞けよ。まず1回ひねり程度なら不合格だ。せめて2回半ってとこだろう」
ランディ 「待って下さい。俺には一体全体どういうことなのか…」
オスカー 「飲み込みの悪い坊やだぜ。仕方あるまい、『百聞は一見にしかず』だ。リュミエール、お前の合格作品をフリスビーに見せてやってくれ」
リュミエール 「私が、ですか…」
と、明らかに恥ずかしがっている。
オリヴィエ 「(拍手喝采で)ワー、見たい、見たーい☆」
突然運んでいたハーブティのお盆を床に置いてうずくまるリュミエール。
リュミエール 「アイタタタ…」
すぐに駆け寄るランディ。
ランディ 「大丈夫ですか、先輩」
リュミエール 「…キキコミ、ハリコミ、そして…そしてもう一つは、サシコミ?」
ランディ 「へっ???」
オリヴィエ&オスカー 「ブラボー!!」
リュミエール 「(すっくと立上がり)お誉めにあずかり恐縮です」
ランディ 「…俺また刑事を辞めたくなっちまったよ…」

○ランディの家(夜)

ねじり鉢巻姿で机にかじりついているランディ。
横で心配そうに見ている犬のサニー。
ランディ 「ダメだアアッ」
と、イスの上からバク転。
ランディ 「…何が2回半ひねりだよ…」

○『情報屋』・前

 大きく息をつくとドアをノックするランディ。
 小窓が開き、顔の一部分を出すチャーリー。
チャーリーの声 「やあフリスビーはん。今日もテスト受けに来てくれたんや。うれしいなあ」
ランディ 「問題、お願いします!」
チャーリーの声 「なんや自信たっぷりやなあ。ほな出しまっせ。『刑事に必要不可欠な3コミ、とはキキコミ、ハリコミ、そしてもう一つは?』」
ランディ 「(おもちゃのバットを振上げ)ナグリコミ!」
チャーリーの声 「ブーーッ。そらあかんわ。
どっちかいうたらNGワードやがな。ほんならまた明日」
 と、小窓がピシャッと閉まる。
ランディ 「…夕べ寝ないで考えたのに…」
と、がっくりと去っていく。
残されたおもちゃのバットが風で転がっていく―。

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裏題(爆)は、「大丈夫なのか!? 七聖署」です、あはっ。
ちなみに「3コミ」のネタ元は、知る人ぞ知るトミーズの漫才ネタです。
私の最近のお気に入り―トミーズ・2丁拳銃・COWCOWそして陣内智則です。(すばる)

教官&協力者の中ですばるが一番気に入っているのがチャーリーさん。そういう感じ、でてます?
私はリュミ様の捨て身っぷりにぐるぐる回転しておりました。うう、かわいい。(ちゃん太) 

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