氷のとけた日 



約束の場所に、オスカーたちはまだ来ていなかった。
「なんだ、あのオッサン。まだ来てねーのかよ。」
ゼフェルは足下の雪を蹴った。ランディを大きな木の根元に隠れるようにして座らせる。フレイアの力を取り込んだランディは高熱を出したように、苦しそうにしていた。口で息をし、顔を真っ赤にしている。ここまで歩いてくるのも大変だったのだ。ものすごく、時間がかかった気がした。
「仕方ないよ・・・。ウィンディアまで結構あるもんな・・・。」
木にもたれ、梢の方を仰ぎ見たランディが笑った。ゼフェルは辺りを警戒しつつ、ランディと背中合わせになるように、自分も木の根元に座る。
「おい、大丈夫か?そんなに苦しいのかよ?」
「大丈夫だよ・・・。でも、オスカー様はすごいな。俺の力を取り込んでも、平気な顔してたよ。」
その熱さはフレイアの熱ゆえか、と思った。体の中で何かが暴れまわっている。その力が発動することはないだろうが、ちょっとでも気を許せば意識を持っていかれそうな気がした。必死に落ち着こうと試みる。体が熱くて、雪を頬に何度も擦り付けた。その雪が、ジュっと音をたてて蒸発しそうな気もした。そんなことをしながら、オスカーたちの到着を待つ。時間が長く感じられた。
「・・・ったく、おっせーなぁ!!何やってるんだ!!」
ゼフェルは時々いらついたように立ち上がり、辺りを見回す。時折敵のエアホースが飛んでいるのが見えたが、遠かったので見つかることはなかった。それでもいつ、敵に遭遇するかわからない。ランディが苦しそうにしている今、正直なところ、ゼフェルにはランディを守りながら戦う自身がなかった。敵は必ず複数で攻めてくる。今、襲われるわけにはいかなかった。その緊張があるせいで、余計にイライラがつのる。何度も辺りを行ったり来たりした。その時。
「・・・・・・!」
ゼフェルの耳が雪を踏み締める、複数の足音をキャッチした。心臓が跳ね上がった。直後にランディも気付いたらしく、腰の剣に手をかけている。ゼフェルがランディを振り返ると、ランディは一つ頷いた。
(大丈夫、戦えるよ)
ランディの青い瞳がそう言っている。ゼフェルも頷き返し、銃を左手に持った。右手はポケットに入っている特製の小型爆弾をあさる。もうすぐ敵の姿が見えるはずだ。そうしたらこちらから先制攻撃をしてやる。そう思った瞬間。
「よう、坊やたち。何を警戒してるんだ?」
銃を撃とうと思った時、そこに姿を表したのはオスカーだった。
「なっ!てっ、てめー!!おどかすな!」
緊張が一気にとけ、ゼフェルは顔を真っ赤にしてオスカーに食って掛かる。大体の状況を把握していたオスカーは笑った。
「悪い悪い。シャトルをちょっと離れた場所に着陸させたんでな。」
そのオスカーに続き、ヴィクトールとセイランも走ってきた。その後ろにはエルンストとメルの姿も見える。オスカーはランディに近寄った。
(思ったよりも苦しそうだな・・・。)
真っ赤な顔をしたランディはオスカーの姿を認めると、ほっとしたようだった。表情がゆるんだ。
「坊や、苦しいか?」
「大丈夫です。」
そう言って微笑むランディ。それでも相当我慢しているのが見て取れる。オスカーはしばらく何事か考えていたが、他の者たちにこう言った。
「・・・ここからは俺たちの仕事だ。今まで世話になった。もうウィンディアに帰ってくれてかまわない。ランディは後で俺がウィンディア王宮まで送ろう。」
いきなりの突き放した言葉にセイランが言い返そうとしたが、ヴィクトールが止めた。今、オスカーは『ランディをウィンディア王宮まで送る』と言った。ウィンディア城は今、氷付けになっている。それはすべての氷りを融かし、すべてを元通りにする。それを確信したオスカーの言葉だった。ヴィクトールはオスカーに敬礼した。
「フレイアの王子のお力になれたことを誇りに思います。どうぞ、このフレイア星系を元通りにしてください。信じております。」
言い終わったのに合わせ、その他の者も全員が敬礼した。オスカーはフッと笑うと、ランディに一言「行くぞ。」と言った。オスカーはフレイア城下町に向かう。ランディがついていく。その後ろ姿を、全員が見送った。
「・・・フレイアの王子か・・・。」
セイランがぽつりと呟いた。エルンストが続ける。
「不思議な方でしたね。」
メルは二人の後ろ姿に向けて祈りをささげた。
「大丈夫。お二人には強い運命の光が見えるよ。」
ゼフェルは軽く舌打ちをする。が、その顔はやや嬉しそうだ。
「ったく。おいしいところだけ持っていきやがって。」
ヴィクトールは二人の姿が見えなくなるのを確認した。
「よし、帰ろう。あとはあのお二人を信じるんだ。」



 フレイア城には敵兵の姿があったが、オスカーは秘密の抜け道とばかりに簡単に敷地内に潜入した。目指すのは城の四方に立っている塔の一つ。サウスタワーである。
「上まで登るんだ。大丈夫か?具合悪くなったら言ってくれ。」
オスカーはランディを先に行かせた。ランディの状態に気を配るためである。塔は天まで届きそうな程に高かった。それの内部にある階段をのぼり、てっぺんまで行こうというのである。ただでさえフレイアの力を取り込んで苦しそうにしているランディ。おそらく途中でダウンするだろうとオスカーは思っていた。途中、何度も声をかけるが、そのたびにランディは
「大丈夫です。」
と気丈に言った。思いのほか、ランディの精神力は強かった。もしランディが倒れたら背負って行くつもりだったが、その心配はなかった。ここまで来たら失敗は許されない。その思いがランディを塔の頂上に導いているようだ。階段は永遠に続くかのように思われたが、やがて目の前に扉が現れる。そこでオスカーがランディの前に出た。
「頂上だ。よくがんばったな。もう少しだぜ。」
そっと扉をあけると、そこには暗い空が広がっていた。フレイア城下町を一望できる。下をのぞくと足がすくむ。天に手をのばせば雲をつかめそうで、風がひと吹きすれば体をさらわれそうだ。ランディは目を丸くして辺りを見回した。ものすごい高さである。
「すごいですね・・・。ウィンディアにはこんなに高い塔はありません。」
「警備のためのものなんだ。俺も普段はそんなに登ることはないんだがな。」
座って少し体を休める。敵のエアホースが気になるのだが、そのエアホースは塔のはるか下を飛んでいた。
「・・・さて、始めるか。」
オスカーはランディを真剣な眼差しで見つめる。ランディも見つめ返し、一つ頷いた。
「力の交換といこう。」
オスカーが胸に手を当て、目を閉じるとすぅっとランディの姿がオスカーの体から離れた。ウィンディアの力である。ランディも同じようにすると、何かが体を抜け出る感触があった。フレイアの力、オスカーの姿がそこにはあった。力が抜け出ると、今までつらかった体がウソのように軽くなった。
「楽になったか?」
「はい。」
「当たり前だな。お前は俺より体が小さい。そこにこの俺の力が入っていたんだ。無理に詰め込んでいたようなものさ。」
器としての体が小さい、ということだった。ランディの体はオスカーに比べて小さいので、オスカーにランディの力を入れるには何の無理もなかったということだったらしい。威力は変わらないものの、その器(体)に合った形に力が作られるので、オスカーの大きさの力をランディに詰め込むには無理があったのだろう。それが、ランディが苦しんでいた原因だった。もちろん、オスカーはそのことを承知だったのだ。
「さて。まずはお前だ。力を取り込んでいいぜ。」
言われるままに自分の力に触れると、風が巻き起こった。背に翼が生えたように体が軽くなる。久々にすべての力が自分の体内におさまった。心地よい感触。もしかしたら力も自分の体に戻ることを望んでいたのかもしれない、とランディは感じた。こんなに自分の力を愛おしく思ったこともなかった。ランディの表情が明るくなるのを見て、オスカーは微笑んだ。
「いい顔になった。それでこそ、ウィンディアの王子だな。よし、そうしたらその力の出番だぜ。まず、敵兵と俺以外のすべてを風の力で包み込めよ。氷ごと雪ごと、人も、建物も、大地もだ。ウィンディアとフレイア以外の星は星ごと包んでいいぜ。」
「えっ!そ、そんな・・・。」
ランディは困惑した。そんな風にして意識的に力を使ったことはない。無理だ、と思ったのだ。
「できるぜ。すべての人や建物、大地のまわりに小さな大気を作ると思えばいい。それはウィンディアの力の一つだ。」
意を決して、ランディは塔の端に立った。目を閉じて、両手を前にのばす。途端に風がランディの意志のままに吹き荒れる。風は建物を包み込み、大地を包み、動いている人、氷付けになった人すべてを包み込んだ。植物も、動物も。山も海も。しばらく力を送っていると、風の声が聞こえる。
(すべてはあなたの意のままだよ、風の王子。)
目を開けた。自分の体のまわりにも小さな大気ができている。その大気はオスカーの体のまわりにはない。それはオスカーの望んだことだ。終わったな、と確認したオスカーは次の指示を出す。
「そうしたら今度は風をウィンディアとフレイアのめぐらせろ。思いっきりめぐらせていいぜ。それはフレイアの恵みを運ぶための力だ。これもウィンディアの力の一つだな。」
いわれるままに、ランディはフレイアとウィンディアの大気の内側に風をめぐらせた。風で包まれたものと、その間を吹き荒れる風。そこまで整うと、オスカーはニヤっと笑った。
「・・・これで終わりだぜ。俺の力、見ててくれよ。」



・・・オスカーはランディの傍らに立っていた自分の力に触れた・・・。



「な、何事ですかー!?」
研究所にいたルヴァは窓の外を見た。窓の外が明るくなったかと思うと、ものすごい風が吹き荒れている。熱を含んだ風。ランディの力をオスカーに引き渡し、ルヴァのもとを訪れていたクラヴィス神官も窓の外を見る。
「これは・・・。フレイアとウィンディアの力だ・・・。」
「な、何ですって?クラヴィス、どういうことですか?」
「あの二人の王子が力を放出させたのだ。我々の体を保護しているのはウィンディアの力、敵を打ち砕くのはフレイアの力・・・。」
「それでは、フレイアの王子は力を取り戻したんですね?」
「おそらく、な・・・。」



「な、なんだよコレは!!」
ゼフェルはシャトルの窓から外を見た。ものすごい勢いで光と熱が吹き荒れている。それでもシャトルは揺れることもなく、順調に飛行を続けていた。
「これは・・・。ランディ様の力と、もう一つ・・・。オスカー様の力・・・?」
メルは水晶球を覗き込む。ヴィクトールも慌てて駆け込んでくる。
「これがお二人の作戦か?」
「そうだろうね。・・・なかなか美しいじゃないか。こんな嵐は滅多にお目にかかれないしね。」
セイランが微笑みながら呟いた。



眩しい光と焼け付く熱の嵐だった。自分の力に触れた瞬間にその最大限の力を放出させたオスカー。その光と熱が、ランディの流した風に乗って吹き荒れている。小さな大気で守られた建物や人には何の影響もないが、その保護を受けられていない敵兵は嵐に飲み込まれ、焼き尽くされていった。その様子を、ランディはじっと見守っていた。オスカーの作戦。それぞれの力の最大限を駆使した嵐。それはフレイア星系のものは保護し、侵入者を破滅に導く究極の方法だった。力を放出させ続けるオスカー。オスカー自身は大丈夫なのだろうか、とランディは思った。赤い髪が炎のように風に煽られた横顔をじっと見る。それは何よりも神々しく、まさにフレイアの王子、炎の王子の姿だった。神にも等しい人間と謳われた王子。その人物が目の前でその力のすべてを見せている・・・。
「オスカー様・・・。」
その時、オスカーの顔が苦痛に歪み始めた。汗が額から頬を伝う。オスカーの着ていた服が焦げてきている。フレイアの熱が器であるオスカーの体にも影響を出し始めたのだ。オスカーは相当の熱風を感じているのだろう。
「オスカー様!もう・・・!もうやめてください!!」
ランディは思わず叫んだ。このままではオスカーが危ない。しかし、ランディの言葉は嵐にかき消され、すぐ隣にいるはずのオスカーにも届いていないようだった。オスカーの服は力を放出させている腕の部分が既に燃え落ち、裾も短くなってきている。そんなにしてまで歯を食いしばっていたオスカーが、何事かを吠えた。その声が、ランディには届かない。ランディはその唇のかたどった形から判断した。
(ランディ、俺の体を包んでくれ・・・。)
とっさにランディはオスカーに向かって風を送る。小さな風の大気がオスカーを包むと、オスカーは力の放出をやめた。どさり、と力を失って崩れ落ちるオスカー。ランディはオスカーに駆け寄った。
「オスカー様!!」
オスカーは腕も脚も投げ出して、うっすらと目を開けて空を眺めていた。まだ嵐が吹き荒れている中、空が風の隙間に見える。暗かった空が、明るかった。しばらく寝転んだままそうしていたが、やがてオスカーはゆっくりと起き上がり、塔の端から城下町を見つめる。光と熱の嵐は次第に止んでいった。その中に、敵兵の姿は一人たりともなかった。オスカーの口の端がつり上がり、しまいには声をあげて笑う。
「オスカー様・・・?」
オスカーはランディを振り返る。焼けこげた服をまとい、頬にすすをつけたフレイアの王子。先程見た神々しさは今は感じられないが、それは勝利を感じた誇らしげな顔。地上に降りた神というのは、こんな姿なのかもしれない。
「見ろよ、ランディ。フレイアのものは何一つ傷付いちゃいないぜ。なのに敵兵は一人もいないんだ。・・・これが、俺たちの力だ。素晴らしくも危険ゆえ、誰にも渡せない力さ。」
嵐がすっかり止んだ空から光が降り注ぐ。それは嵐の時のような光ではなく、慈愛に満ちたフレイアの恵みだった。
「・・・はい。」
それ以外、言葉は出ない。だがオスカーにとって、それは充分すぎるランディの返事だった。




 しばらくして、ランディはすべてを包んでいた風の大気を取り払った。今、フレイア星系には緩やかな風が流れるのみである。オスカーが力を取り戻したことでフレイアがまた輝き始めたが、それだけでは不十分だった。
「一気にすべてを回復させると氷がとけて洪水になるんだ。だからまだ、熱は届けていない。」
そう言われれば、まだ風は熱を含んでいなくて冷たい。先程の嵐がウソのようにも感じられるくらいだ。凍った町はまだ凍ったままで、光に照らされている。オスカーは再び塔の端の壁にもたれ、座り込んだ。
「オスカー様、大丈夫ですか?」
オスカーははぁっとため息をついたが、ランディには強気な笑みを見せた。
「あぁ、大丈夫だ。だが、少し休ませてくれ。」
目を閉じるオスカー。ランディはオスカーの様子をじっと見守った。焼けてボロボロになった服。ところどころに火傷もしているようだ。ランディはオスカーの言葉を思い出す。
『・・・ヤツらを一気に全滅させることなど、俺の力をもってすれば容易いことだ。だが、それはフレイア星系の全滅を意味する。・・・フレイアの力は光と熱、炎だ。それを一気に放出させれば、このフレイア星系は焼きつくされる。建物も、人々も、星そのものも。』
それは力の使い手オスカーをも滅ぼす程の力だった。オスカーは、最初からそれを半分覚悟していたのかもしれない。オスカーの体を風の大気で包んでしまえば、オスカーは力を放出させることができない。力を放出させる手のみを外に出したまま体を包むこともできたであろうが、オスカーは最初から包むな、と言った。それはこの危険な力の使い手である責任だったかもしれない。卑怯なまねはせず、正々堂々と正面から戦う。もし自分の力を放出させて自分の身が滅びるのならば、それもまた運命。敵を全滅させるまでは無理に生き残ろうとはせず、運命に従う。敵を全滅させることができるまで身がもてば、その時は生き残ろう、と。ランディは思った。自分がウィンディアではなくてフレイアの力を持って生まれたとしたら、ここまでできただろうか。できなかっただろうと思う。
「・・・あなたはすごい人ですね・・・。」
眠ってしまったオスカーの体が冷えぬよう、ランディは自分の上着をかぶせてやった。




 1時間ほどして、オスカーは目を覚ました。自分にかけられていた上着を見て微笑む。ランディは塔の端に立って辺りを見回していた。オスカーが目覚めたのに気付く。
「ありがとうよ、風の王子殿。」
上着を返し、天に向かって手をのばし、のびをした。熱を帯びていない光ではあったが、久しぶりの光は温かささえ感じる。あとは、熱を運べばいい。
「そろそろ行こうか。早くフレイア星系に熱をもたらしたい。」
オスカーはピィーッ!と指笛を鳴らした。どこからともなくペガサスが飛んでくる。オスカーが乗っていたペガサスだ。主人の無事な姿を見て、ペガサスも心なしか嬉しそうである。
「乗れよ。俺は熱を少しずつ振りまく。お前は風でそれを運んでくれ。」
オスカーが先に乗り、ランディを引っ張りあげる。二人が乗ったのを確認してからペガサスは空へと舞い上がった。フレイア城の上空を旋回する。オスカーはその手から少しずつ熱を放出させた。フレイアの力の特性もあって、光も同時に放出される。そこですかさずランディは風を流した。風に乗った熱と光はキラキラと輝きながらフレイアの大地へと注がれる。注がれたところから氷が融けていった。眠っていた町が息を吹き返す。木々が葉を揺らし、花がその色を取り戻し、人々が眠りから醒める。ペガサスは大空を駆け出した。その後には光のすじが描かれる。
「ママ、見て。昼間なのに流れ星!」
眠りから醒めた少女が空を指差す。母親も空を見上げた。
「本当ね。温かい流れ星ね。」
フレイア全土を眠りから覚ました二人は大気圏を突破し、宇宙の空間へと駆け出す。次に向かうはウィンディア。次々と氷が融けていく中、ランディはウィンディア城の姿を上空から見つけた。無事だった。
「これはランディの力か。・・・この温かさはもしや・・・?」
氷が融けたウィンディア城の中、時を同じくして目を覚ましたジュリアス王は空に光るフレイアを見つめた。
「あー、温かい光ですねぇ。」
外に出たルヴァは空を眺めた。そこにはキラキラ光りながら空を駆ける星が。
「フレイアとウィンディアの力、か・・・。」
クラヴィスがほんの少し微笑んだ。
「ねぇ、見て。氷が融けていくよ。」
ウィンディアに戻り、水晶球を見つめていたメルは慌てて窓の外を見る。
「おい、あいつら、成功したのか?」
ゼフェルが嬉しそうに部屋に飛び込んできた。
「今すぐ被害の状況を調べて下さい。王子が戻られる前に完全な復興を!」
エルンストは研究所に連絡を入れた。
「美しい光だね。何かいい詩が浮かびそうだよ。」
セイランは窓枠にほおづえをつく。
「ウィンディア城も氷から解放されたはずだ。すぐに王のもとへ参上しよう。」
ヴィクトールは馬の用意をした。
ウィンディアを解放し終えた二人は残りの星にもフレイアの恵みを届けに行った。ペガサスにまたがり、宇宙空間を駆けていった。


 それは氷のとけた日。フレイア星系に温かな熱と光が風に乗って運ばれた日。炎と風、二人の王子の物語。


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あとがき (注:残月様のサイトより転載させていただきました)

5000ヒット記念の物語「氷のとけた日」でした。
今回オスカー様とランディ様の宇宙冒険ファンタジーものということでリクエストいただきました。
非常に妄想がふくらみ、こんな連載になってしまいました。
更新遅くて申し訳なかったです〜。半年以上かかっちゃいました。
リクエスト通りのイメージになったかどうか不安だったりします(-_-;)
書いた自分の率直な感想としては、ちょっと分かりにくい話になっちゃったかな?と思います。
自分の頭の中では映像で浮かんでいるので、できるだけそのまま文章にしたいと思いましたが 難しいものですね。設定にも無理があったかも・・・?
でも楽しく書かせていただきました★
リクエスト、ありがとうございました(*^ ^*)  

まっすぐで王子様っぽいランディ様と神々しいオスカー様のお話とイラストがたくさん!なサイト「Zangelique HOUR」ですばるが5000番を踏んで、書いていただきました。
お題は「オスカー様&ランディ様のコンビが大活躍する、宇宙冒険ファンタジーもの」。ついでに「イメージとしては、スターウォーズのルーク(=ランディ)とハン・ソロ(=オスカー)のような感じです。」のダメ押しつき。
「うちにもそろそろカッコイイ炎様がいてもいいよね?なんて考えて。

リクエストにこたえていただいて、まずその大長編ぶりに感激。
そして、とにかく遙拝所メンバーには絶対書けないかっこいいオスカー様。凛としたランディ様。やはり餅は餅屋、というところなのでしょうか(ちょっと違う気もする)。うう、頼んでみて良かった。
残月様、本当にありがとうございました!

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