カケラ・g


久しぶりにボリュームのある単行本が読みたくて、芦屋と地元の図書館に行った。
面白そうな本を数冊借りたら、カウンターに短冊。
「土曜日の午後七夕祭りをするんですよ。子ども向けですけれど、短冊だけでも参加しませんか?」と館員。
カウンターの横にある笹飾りには既にいくつか短冊がぶら下がっている。

「これ何?面白そう!」
芦屋は参加する気満々だ。
「願い事を書くんだ」といって俺は既に下がっている短冊をひとつ手にとって示す。

「さかあがりができるようになりたい」

「うわあ、いい!なんか、すごく、いい!」
妙に興奮した芦屋は数瞬間上を向いていたが、すぐに短冊に文字を書き込む。
「よし、できた!」

館員は笑顔で短冊を受け取り、さらに笑みを強くして笹に下げた。
芦屋の書いた短冊には、「健康第一」とあった。


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