煌めく星々の彼方へ


”【結晶】受け取りに関わる準備委員会”、通称”DOCODA”の面々の必死の努力にも関わらず、”地”の力を持つ人物の特定は今だなされていなかった。

「アンジェリーク、あなたの力をお貸し願えますか?」
「えっ? 私ですかぁ? 私で役に立つのかなぁ」
「あなたが最後の希望なのです。DOCODAの情報網を駆使しての捜索も実を結ぶことはありませんでした。どうか、あなたのお力で”地”の人物を捜し出してください」
「でも、どうやって?」
「勘です」
「はぁ?」
「さ、ご自分を信じて! あなたなら見つけられます」
「はぁ・・・」
アンジェリークは、DOCODA主任の睡眠不足の異様に高揚した目に逆らうことはできず、そのままオフィスを後にした。


「アンジェリーク!」
恋人の呼びかけに軽く手を振り、水色の髪の愛しい人の元に急ぐ。
「何のお話だったのでしょう?」
「うんとね、”地”の人を捜せって言われたの」
「それは、DOCODAの仕事では?」
「う〜ん、何かね、駄目だったらしくって、すっごく困ってるみたいなの」
「それでは引き受けたのですね」
「押しつけられちゃったって言うか、まぁ、そんなトコですので、よろしくおつき合いくださいませ」
ペコンと頭を下げるアンジェリークに、リュミエールは苦笑しつつも頷いた。
「でも、捜すって言ったってどこから・・・・あっ・・・」
「アンジェリーク?」
「リュミエールさま、こっち!」
「?!」
訳が分からぬままアンジェリークに手を引かれて駆け出すリュミエール。
気が付くとふたりは病院らしい建物の中にいた。
「あの・・・」
受付に座る恰幅のいいおばさんに声をかけるが、何と切り出せば良いかわからない。
「ああ、初めての人? じゃ、こっちの問診票に記入して少々お待ちくださいね」
「あの、その私、診てもらいたい訳じゃなくて、ちょっとお聞きしたいことがあって・・・」
「はい、はい、わかりますよ。でも、順番だから待っててくださいね。聞きたいことは先生に直接、ね?」
アンジェリークは”先生”と聞いて何か感じるものがあったのか、そのまま黙り込んでしまった。
リュミエールが心配そうに恋人の顔を覗き込む。
アンジェリークは大丈夫、という風ににっこり笑ってリュミエールの手に自分の手を重ねた。


「アンジェリークさん」
名前を呼ばれてアンジェリークは弾かれたように立ち上がり、診察室に向かう。
当然のようにリュミエールも付いていったが、誰も止める者はいなかった。
「こんにちはー、アンジェリークさん。あ、緊張してます? 大丈夫ですよー。そりゃ誰でもこんな所に来たら緊張しちゃいますよねー。でも、すぐ済みますからね。では、あっちの内診台に上がってください。あ、ご主人はこちらにいてくださいねー」

「内診台?」
「ご主人?」

ふたりはしばらく事態が飲み込めず、互いの顔を見合わせていたが、やがて、待合室にお腹の大きな人と赤ちゃんがやたら多かったことに思い至り、自分達が何処にいるのかを理解した。ここは産婦人科の病院だ。
道理で男女のふたり連れが診察室に入っても咎められなかった訳だ。

「ち、違うんですっ! 診てもらいたい訳じゃなくて、お話がしたくって・・・」
「そうです! 診ていただく必要はありません。ついこの間、口付けを許されたばかりなのですから」
「リュ、リュミエールさまぁ、こんな所でそんなこと・・・、えっと、だから、違うんです。私、DOCODAの人から”地”の力を持つ人を捜すように頼まれて、それで、あなたがそうなんじゃないかって思って」
「えー?! DOCODAって言ったら、【結晶】探しの人を捜してる人達ですよね。私に”地”の力があるなんてそんなことがあなたにわかるんですか?」
「勘です」
「はぁ?」
「勘を信じなさいって言われました。だから信じます。私、あなたが”地”の人だと思うんです」
「・・・あなたは、もしや・・・?」
「ええ、【結晶】の声を聴く者、ですよ」
リュミエールがルヴァの疑問を引き受けて自慢げに答えた。
そのような大役を務める者が自分の恋人であることが誇らしいとでも言うように。



〜〜〜



ルヴァ達の属するアスラン星系は【結晶】と呼ばれる石によって支えられている。
石というのは正しくないかもしれない。今生きている者達の中で【結晶】を見たことのある者はいないのだから。
【結晶】は千年の時を通じてアスラン星系に力を送り続けてきた。
いま、その力が尽きようとしている。代わりの【結晶】が必要だった。
【結晶】がどこにあるか、どのように入手するのかは詳細な記録が残っていた。
【結晶】はアルカディアという浮遊星にある。九つの異なる力を持つ守護者が”【結晶】の声を聴く者”を導き、アルカディアに送り込む。その場に結晶】の声を聴く者と守護者以外の人間がいてはいけない。

今回の【結晶】探しに当たって、”【結晶】受け取りに関わる準備委員会”(DOCODA)が組織され、先ずは【結晶】を受け取るべき”【結晶】の声を聴く者”捜しが始まった。これは比較的容易だった。
そして、”【結晶】の声を聴く者”を導く守護者の捜索。
星系内に張り巡らされたシーカーで守護者の発する特異なオーラを検出し、人物を特定する。
九人の守護者の内、八人までは見つかった。【結晶】探索宇宙船(HATEMIMARU)に乗り込む為の訓練を施す時間もあった。
だが、九人目の”地”の守護者だけはどんなに科学力を駆使しても見つけることができなかった。

それがDOCODAの目と鼻の先にいたのだ。
DOCODAのメンバーは悲しいやら、悔しいやら。
それでも晴れやかな顔でルヴァを迎え、『船医ということなら訓練も必要ありませんね』と笑って【結晶】探しの旅に送り出した。



〜〜〜



「えー、今でも信じられませんねぇ。自分にそんな力があるなんてねぇ」
出航の準備に忙しい宇宙船HATEMIMARUの中を一通り案内されて、ルヴァは誰に言うでもなく呟いた。
「未だ責務の重大さに気付かぬ者がいるとはな」
ルヴァは声のした方を向き、そこに金の髪を腰までたらした長身の男がいることに気付いた。
「あのー、それって私のことですよね。いえ、気付いてないって訳じゃないんですよ。ただね、一週間前までは自分が”地”の力を持ち、【結晶】探索に行くなんてこと夢にも思わなかったものですからねー。ええっと、ところであなたは?」
「HATEMIMARUの船長、ジュリアス。”光”の守護者だ」
「ああ、あなたが。私はルヴァ。医師をしております。専門は産婦人科なんですけど、盲腸の手術くらいはできますから、船医ということになるんでしょうかねぇ。えー、さっき守護者って仰いましたよね? そうですかー、そう言う風に言うんですねー。うん、うん、守護者ですかぁ。何だか自分が偉くなったような気がしますねー」
「そなた、いつもそうなのか?」
「はぁ、いつもそうって、何のことでしょう?」
ジュリアスは軽く溜息をつき、小さく頭を振った。
「行動は迅速に、言葉は簡潔に、それが私のモットーだ。ルヴァ医師、出航は三日後。
集合時間は朝七時。場所はHATEMIMARUブリッジ。DOCODAスタッフの話を聞いていれば質問は無いはずだ。以上」
踵を返して足早に立ち去るジュリアス船長。
『はぁ、何とも厳しそうな人ですねぇ。ああゆうタイプはストレスに弱いんですよねー。胃に穴が空いちゃったりしたらやっぱり手術とかしなくちゃいけないでしょうねぇ。はぁ・・・』
ルヴァはジュリアス船長を見送りながら、ぼんやりとそんなことを考えていた。


「おっさん、ソコ邪魔なんだよ」
「えっ? あ、すみませんねー。えー、それにしても沢山の荷物ですね。これは全部あなたの持ち物なんですかー?」
「ま、そーゆーこと。何年かかるかわかんねー旅に出よってゆーんだ。いろいろ持っていかねーとな」
「ああ、そうですよねー。うんうん、私も用意しないと・・・。あ、旅に出るって事は、あなたも守護者なんですか?」
「ああ、”鋼”のな。ゼフェルだ。おっさんは?」
「お、おっさんですかぁ。ふぅ、まぁ、あなたくらいの年齢の人から見ればおっさんなのかもしれませんけど、初対面の人にその言い方はいけないと思いますよー」
「おっさんが名乗りゃ、ちゃんと名前で呼んでやるよ」
「あー、そうでしたねー、すみません。医師のルヴァです。”地”の守護者ということらしいです」
「へぇ、ってことは全部揃ったってわけだ。DOCODAの連中、やっと見つけたんだな。よろしくな、ルヴァ」
「えー、正確に言うと違うんです」
「何が? おめー、ルヴァって自分で言ったじゃねーか」
「名前の事じゃありませんよ。私を見つけたのはDOCODAじゃなくて、アンジェリークなんです」
「・・・【結晶】の声を聴く者、か。ま、それくらいの力がなきゃ【結晶】探しなんざハナっから無理ってもんだよな。何てっか、希望ってヤツが見えてきたぜ。サンキュ、ルヴァ」

にっと笑ってカートを押して去っていくゼフェルを見送り、ルヴァは改めて辺りを見回した。
定員二十名の小さな船とは言え、星間航行が可能な高速宇宙船だ。
この船に人類の未来と自分自身の命を預けて航海の旅に出るのだ。
何年かかるかわからない。
何年かかっても必ず成功させないといけない。
目的を達するまでは帰れない。

『大怪我をする人や、大病を患う人が出ませんように・・・』
ルヴァ医師の願いは切実だった。
HATEMIMARUには【結晶】の声を聴く者と守護者しか乗れないのだから、一介の産婦人科医の手に負えぬような怪我や病気は困るのだ。
『まぁ、なるようになりますよね』
ルヴァは顔を上げて、彼としては最大級の速さで家路を急いだ。
出航は三日後。
のんびりしては居られない。
それがルヴァの一番苦手とするところであっても。



〜〜〜



「はい、ランディ、お返ししますねー。もう大丈夫ですよ。でもね、もうヘンなもの食べさせちゃいけませんよー」
「ルヴァ様、ヘンなものじゃないです。ちゃんと食べられるものだったんですから」
「それは人間の、でしょう? ダメですよ、わんちゃんには人間の食べ物は味付けが濃すぎるんです。わんちゃん用はずっと控えめな味付けでいいんですからねー」
「えっ? そうなんですか? 俺、ちっとも知りませんでした。今度から気を付けます。ありがとうございました!」
ペットのゴールデンレトリバーを連れて風のように去っていくランディの後ろ姿を見送り、カルテに書き込む。

HATEMIMARUが出航してから早くもひと月が過ぎようとしていた。
乗組員の性格も大体把握できてきた。
ルヴァにとって何よりなのは、みんな丈夫で風邪ひとつ引かず、大きな怪我もなかったことだ。
首をコキコキと左右に曲げて一休みしようとしていたところに、バタバタと足音がして聞き覚えのある声がした。
「ルヴァ!」
「あー、ゼフェル、いつも言ってますが、廊下を走ってはいけませんよー」
「んなこと言ってる場合じゃねーんだよっ! ほら、早く来いってば」

ゼフェルに引っぱって行かれた先はブリッジだった。
船長のジュリアスを始め、乗組員全員が揃っていた。

「何かあったんですか?」
「不審船だ」
ブリッジ正面のモニターから目を離さずジュリアス船長が答えた。
「・・・悪意は無いようだ。負のイメージは・・・ない」
目を閉じて意識を集中したまま、占い師のクラヴィス特務官が言った。
「私も嫌な感じはしません。悪い人じゃないと思いますよ」
アンジェリークが無邪気に言う。
「”人”だと何故わかる?」
ジュリアス船長がアンジェリークを一瞥し、冷たく言い放った。
「だって、あれ宇宙船でしょう? 宇宙船なら人が乗ってるんじゃ・・・」
「えー、遅れて来ちゃったんで状況がわからないんですけど、モニターのあれは何なんですかー?」
アンジェリークの言葉を引き取って、ルヴァがのんびりと質問した。
「不審船だと言ったはずだ。怪電波を発している」
「怪電波、ですか?」
「これ、これだよ、ルヴァ」
オリヴィエ通信士が回線をオープンにして艦内に不審船から発する”音”を流した。

・・・−−−・・・ ・・・−−−・・・ ・・・−−−・・・

ルヴァは怪訝な顔をした。
トントントン ツーツーツー トントントン・・・?

「あっ!!」
ルヴァとルヴァの横で腕組みをしていたゼフェルが同時に叫んだ。
「モールス信号だ!」
「た、大変です。早く助けてあげないと。あの場所は何処ですか? この近くですか? あー、どうしましょう、大怪我なんかしてなきゃいいんですけど」
「ルヴァ医師、落ち着け。どういう事だ?」
「落ち着いていられねーってゆーの! SOSだよっ! 助けを求めてるんだ。トントントンがS! ツーツーツーがO! ほら、何ぼぉっとしてやがるんだ! 救助の命令を出すのはてめーの仕事だろーがっ!」

それからHATEMIMARUの船内はてんやわんやの大騒動。
救助に向かうと言い張るルヴァ医師をなんとか思い留ませ、オスカー副船長とランディ砲撃手が不審船(この頃には要救助船と名前が変わっていたが)に乗り込む準備を始めた。
ルヴァは小型船発着所で担架の用意をし、マルセルと共に救助隊の帰りを待った。
ゼフェルは通信卓を陣取り、救助に向かうことをモールス信号で伝えていた。
ジュリアス船長を始め、仕事場を取られたオリヴィエ通信士、クラヴィス特務官、リュミエール操舵手と、その傍らのアンジェリークは固唾を呑んで要救助船を見つめた。


「要救助者発見! 二名収容。これより帰還する」
オープンしたままの通信回線からオスカーの晴れやかな声がする。
ブリッジの一同は大きく息を吐き、互いの顔を笑顔で見交わした。



〜〜〜



ルヴァに呼ばれて大急ぎで医務室までやってきたアンジェリークは、扉の前で一息つき、元気よく部屋の中に飛び込んだ。
「ルヴァ様、お呼びだって聞いて・・・」
「ああ! アンジェリーク。待ってましたよ。さぁ、こっちに来てください。ここでね、この人に声をかけてあげてください。あー、言葉が通じないなんて気にしなくていいですから」
何が何だかわからず、アンジェリークは診察台の横に回った。
自分達と姿形の変わらぬ女性が苦しそうに喘いでいる。
傍には男性が女性の手を握って心配そうに女性とルヴァを交互に見ていた。
「あの、ルヴァ様、私、何を言えばいいのかわかりません」
「えっ? あー、そうですねぇ、『大丈夫』とか、『もうすぐ生まれますよ』とか、『元気な赤ちゃんですよ』とか安心出来る言葉なら何でもいいですよ」
ここに来て、やっと状況が飲み込めたアンジェリークは、精一杯の笑顔と言葉で女性を励ました。
「あー、いいですねぇ。アンジェリーク、産婦さんの緊張が解れてきましたよー。はい、もうすぐですよ。はい、息を大きく吸ってー、はい、いきんでー、あー、見えてきました」
女性の息づかいが荒くなる。


ほぎゃぁ〜


「はい、良く頑張りましたねー、元気な男のお子さんですよー。アンジェリーク、書き取ってくださいね。宇宙歴0201.2158、28時33分誕生。えー、身長51.5cm、体重3300g。いいですかー?」
「3300グラムっと、はい、書きました」
「助かりましたよ。やっぱり女性の声で励ましてもらった方が産婦さんも落ち着くみたいですねー。お陰でいいお産でした」
ルヴァは後産の処理や器具の片付けをしながら、真っ白な産着に包まれた赤ちゃんを真ん中に嬉しそうに微笑んでいる男女を、にこにこして見ていた。



〜〜



「ったく、あいつらSOS以外のモールス信号は知らねーってゆーんだから、参っちまうぜ」
「ホーント、私の職場まで奪って打ってたのにね。でも、いいじゃない。終わり良ければ全て良しってね」
「ええ、本当に。それにしてもゼフェル、あなたは良くモールス信号などご存知でしたね」
「ああ、オレは機械とか好きだかんな。モールス信号の通信機はそこいらのガキでも作れるってモンで、オレも一時はまってたしよ。それよりルヴァが良く知ってたと思うぜ」
「えー、私が知ってたのは偶然なんですよー」
「ルヴァ?!」
「こんにちはー」
「そっちはもう落ち着いた?」
「ええ、オリヴィエ。母子ともに健康、産後の経過も順調ですよ」
「よぉ、偶然って何だよ?」
「ああ、モールス信号のことですねー。いえね、いつまでかかるかわからない旅ですから、本を何冊か持ってこようと思いましてね、いろいろ整理していたら本が崩れちゃって、何とか本棚に収めたと思ったら一冊だけ残っていてどうしても本棚に入らないんですよー。ええ、それが旅行記でしてね、遭難しかけた人が救助信号を打つところがあって・・・」
「だーーーっ! わかった、わかった。そこにモールス信号のSOSが書いてあったってワケだ。にしてもおめー、荷造りしなくちゃなんねーのに本なんて読んでたのかよ」
「キャハハハ、ルヴァらしいよねぇ」

「みなさんお揃いなんですね」
「アンジェリーク? もう赤ちゃんのお世話は良いのですか?」
「ええ、おっぱいをもらって眠っちゃいました。今はマルセルさまが見ていてくれてます。ねぇ、リュミエールさまぁ、私も欲しいなぁ」
「えっ?」
「赤ちゃんですよ。リュミエールさまの赤ちゃんだったら可愛いだろうなぁ」
「それはいいですねー。リュミエール、アンジェリークもこう言ってるわけですから、どうですかー? 心配はありませんよ。産婦人科医ならここにいますからねー」
「ルヴァ! それはならぬぞ」
「ジュリアス?」
「アンジェリークは【結晶】の声を聴く者。いざ【結晶】受け取りという時に動けぬでは話にならぬ」
「はぁ、そうでしたねー。それでは、リュミエール、アンジェリーク、この仕事が終わったらいつでもお手伝いしますからねー。それまでは明るい家族計画ということで・・・」

「ルヴァ!」
「ルヴァ様!」
「ルヴァさま!」
その場の全員にツッコミを入れられて、ルヴァはきょとんと周りを見回す。
怒り心頭のジュリアス、そっぽを向くゼフェル、真っ赤になって俯くリュミエールとアンジェリーク、笑いをかみ殺そうと必死のオリヴィエを順番に見て、やっと自分が何を言ったのか気付いた。
「あー、忘れてました。リュミエールとアンジェリークはまだ家族じゃなかったんでしたねー」
途端に、その場の全員、ジュリアスまでが溜息をつき、足早に立ち去ってしまった。
取り残されたルヴァも、『マルセルと代わってあげないと』などと呟きながらそくささと医務室へ引き揚げていった。

「ルヴァ、未来は明るいぞ。・・・多分な」
もう他に誰もいないと思われていたラウンジの片隅でクラヴィスが水晶球を見つめ、独り言のように言った。
窓から見える星々の煌めきが、そうだと言わんばかりに光を増した気がした。

おわり


「すばるさんの3333キリ番ゲットリクエストのお話できました。
 一応、「希望への航海」の続きというか、前のお話です。
 ルヴァ医師が活躍・・・してるかどうか、ちょっと不安ですが、 ゴメンナサイ。これで精一杯でした。
 どうぞお受け取りくださいませ。

 一応オールキャラを目指しましたが、マルセルだけセリフがありません。 この場を借りてお詫びいたします。
 ゴメンね、マルセル。

 題名の「煌めく星々の彼方へ」は、エドモント・ハミルトンのキャプテンフューチャー シリーズ「輝く星々の彼方へ」のパクリです。
 因みに「希望への航海」は、ジェームズ・ホーガンの「断絶への航海」を いただいちゃいました。

優しい中にもきりりとした男っぽさを感じさせられる水様がお出迎えしてくれる、水様とコレットちゃんのほのぼのテイストのお話がたくさんな、
まゆ様のサイト「すぴ〜ち・ばる〜ん」で、すばるが3333番を踏んで、書いていただいたものです。

お題は”SFもの「希望への航海」の中の『ルヴァ医師』です!!”
ええ、まゆ様のお話の中に、「希望への航海」というSFがありまして、古き良きスペースオペラの味わいといい、キャスティングの妙といい、本当にいい感じなんですよ。
しかしそこはルヴァ様ファーストのすばる。「このルヴァ様を主役で見られたら」ということで。

ああ、癒し系ルヴァ様と天然リュミ様がたまりません!!!
ちらりと出てくる脇キャラもいい味ですし、産婦人科医ルヴァ様の意外なはまりっぷりに感心してしまいました。
水様鋼様の活躍っぷりも、きっと遙拝所メンバーの好みを考えて下さったのねーと感激しています。

まゆ様、すてきなお話をありがとうございました!

宝物殿へ