I wannna marry you       BY さしみのつま様


女王陛下の名前はアンジェリーク。
金色の巻き毛と緑色の瞳がとても魅力的な17歳です。
女王陛下は聖地というところで、9人の守護聖様と一緒に宇宙の運行を見守っていました。
 女王様の統べる宇宙は、殊のほか平和で安定が保たれておりました。

「失礼いたします。
 陛下、お呼びでしょうか?」

 女王陛下の執務室に入ったきたのは、光の守護聖ジュリアス。
彼は生まれながらの守護聖で、首座の一人でもあります。

「ジュリアス。よくきてくれましたね。
 そこにお掛けになって♪」

 女王陛下は、にっこりと笑いかけました。

「陛下、ロザリアはいかがされました?
 ご一緒ではなかったのですか?」

 いつも陛下の側にぴったりと張り付いている補佐官の姿が、今日は見当たりません。
「えーと、ちょっと王立研究院に…。」

「では、女王補佐官がもどりましたら、もう一度お伺いすることに致しましょう。」
 女王陛下と守護聖が二人きりになってはいけないという不文律を守るため、
生真面目なジュリアス様は、立ち上がりました。

「待って、ジュリアス。
 どうしても、あなたと二人だけでお話しがしたくて、ロザリアにはわざと席を外してもらっているの。
 お願い、お座りになって。」
 少し涙目の陛下に懇願されて、ジュリアスは仕方なく、席に戻りました。
陛下がそこまでいうのなら、よっぽどのことなのでしょう。

「で、御用の向きは。」
出されたお茶に手も付けず、ジュリアスは話をはじめました。

「あのね…、実はね、ロザリアとも良く話し合ったんだけど…。」
ひざの上で、手をもじもじしながら向いに座るジュリアスに身を乗り出すようにしてこういいました。

「ジュリアス様、私のお婿さんになってください!!」

 そのとき、何をいわれたのか分からなくなってしまったジュリアスは、
瞬きもせず固まってしまいました。

「………はぁ?」
「私のお婿さんになって欲しいんです。」
女王陛下は、両手を祈るようにして組んで懇願してきます。
「本当は、私がお嫁に行きたいんだけど、私ってじょおうさまでしょ?
 じょおうさまはお嫁に行けないんです。だから、ジュリアス様にお婿にきてほしいの。」

女王陛下は一気にまくし立てると、ソファの背にもたれて、ほっと息をつきました。
自分の言いたいことがいえて、ほっとしたようです。
 お茶を飲んで、クッキーをポリポリ食べています。

 しばらくの間、ジュリアスは頭の中で、ぐるぐると考えていました。
(なぜ…、光の守護聖たる私が、婿なのだ?)

「ねぇ?ジュリアス様っ。」
ジュリアスがいつまでたっても返事をしないので、
女王陛下はまた身を乗り出して、今度はジュリアスの顔を覗き込みました。
「………陛下のご命令とはいえ、これは一体……。」

「だめですか?」
女王陛下は、唇を尖らせて、上目遣いにジュリアスを見つめました。
ジュリアスが、否とも諾ともいわないで、しばらく黙っていると、
見る見るうちに、陛下の大きな目に涙が溢れてきます。

「ジュリアス様……、森の湖でいっぱいアンジェにいいこと言ってくれたじゃないですか、
 『このうえなく花の似合う』とか『私のことを特別に思っているか?』とか、
 …あれって嘘だったんですか?
 ジュリアス様って女王陛下のことが一番大切みたいだから、
 私、ジュリアス様の一番大切な人になりたくて、頑張ってじょおうさまになったのに…。」
ぽろぽろ涙を流しながら、女王陛下はジュリアスに訴えました。
 なんだが、外の天気も悪くなってきたようです。

 ジュリアスは困ってしまいました。
確かに、陛下のことは嫌いではありません。
女王候補だった頃は、このままいっそすべてを投げうっても、側にいてほしいと願ったこともありました。
でも彼女は今、女王陛下です。
(陛下と華燭の典をあげた者など、先例がなかったはず……。)

「わかりました。ジュリアス様を困らせるようなことをしてごめんなさい。
 他を当ってみますね。
 そーいえば、私のこと『心優しき天使』って言ってくれた方がいたっけな、
 その方にお願いしよっかな?」

陛下のその言葉を聞いて、ジュリアスは頭に血がカッとのぼりました。
そんなことをいう者をジュリアスはひとりしか知りません。

「待て!それだけはならぬぞ!!」
いきなり立ち上がったジュリアスは、女王陛下の手を取ると、勢いに任せてこういいました。
「その者だけはならぬ。そやつを婿にとるくらいなら、
 私がそなたの婿に行く!」

「ホントですか?」
「本当だ、私の全身全霊をかけて誓うぞ。」
「わーい。うれしいですぅ。」

ということで、光の守護聖ジュリアスは女王陛下の所へお婿に行くことになりました。


        ☆              ☆


どこをどうやって説得したのか、二人は皆に祝福されて無事に華燭の典を上げ、
宮殿の一部を改装した新居に落ち着くことになりました。

 今夜は、初夜です。

ジュリアスは夜着に着替えて、寝室で女王陛下が来るのを待っていました。
(あっという間に事が進んでしまって、いささか茫然自失していたが、
 ここからは、私が仕切らせてもらうぞ。なんといっても初夜なのだからな。)

「おまたせいたしましたぁ。ジュリアス様(ハート)。」

かわいいリボンのついたネグリジェを来た女王陛下が部屋に入ってきました。
「お疲れになりましたか?ジュリアス様?」
「いや、そなたこそ疲れたのではないか?」

 さすがのジュリアス様もちょっと緊張しているのか、どことなくぎこちない会話が続き…

「アンジェリーク…。」
久しぶりに女王陛下の名を呼んで抱き寄せようと手を伸ばして…

「あーっ!そうそう。
 ロザリアとも良く話し合ったんですけど、やっぱり子持ちのじょおうさまって、
 よくないってことで、しばらく子どもはいらないことにしました。」

「………ハ?」
「で、これ、オスカー様のご推薦の品だそうです。
 アンジェよくわかんないですけど、なんでしょうね?」

 と言うと、小さな箱をポケットから出して、ジュリアスに渡しました。

 結局、公私にわたって、仕切り続けられそうな気配がします。

「幸せにしますね♪ジュリアス様(ハート)。」

今宵の聖地は月がとても綺麗です。

終わり(爆)


※あとがきというか、言い訳※

 ちゃん太様。このたびは拙宅サイトのキリ番を申告した戴きましてありがとうございました。
 リクエスト、ジュリ様主演のラブコメというので、頑張ってみました。
それにしてもコメディって難しいです。笑えます?この話?
しかも最後は、ちょっと下品になってしまってすみません(--;)
 これを機会にこれからもよろしくお願いします。
 最後に、ちゃん太様のサイトのご発展とご活躍をお祈り申し上げます。


ジュリアス様とリモージュのドキドキするお話(しっとりシリアスから甘甘まで。切ないお話が個人的にお薦め!)をはじめ、素敵な創作が一杯の「For LOVERS Only」で、キリ番1000番を踏みしめて、
オーナーのさしみのつま様からいただきました。

お題は「光様主演の明るいラブコメ。 当惑したり狼狽したりする光様、が見られたら言うことなし。」だって好きなんだもーん(^^;;

「コメディ苦手なんです」とおっしゃっていたのですが、どうしてどうして!
この破壊的に可愛いリモージュってば!!ううう、最強です。
振り回されている光様もなかなかツボでございます。
この2人のその後、なんて思うと、もうニヤニヤが止まりません〜!!(←かなりアヤシイ奴)

さしみのつま様、素敵なお話を、ありがとうございました!!!

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