第三十三席


オリヴィエ 「(リュートをかき鳴らしつつ)ハーイ☆どーも〜」
オスカー 「(のこぎりを叩きながら)今日もこの手でお嬢ちゃんたちの涙を1滴残らずかわかしてやるぜ」
リュミエール 「ようこそ皆様。本日も定年退職目指して精進してまいります (と、竪琴をポロロン♪)」 
オリヴィエ 「あらリュミちゃん、目指してたのは漫才界のトップじゃなかったの?」
リュミエール 「それはもちろんのこと。私はトップを獲った後の話をしているのです」
オスカー 「なんてジジくさい話をしてるんだ。今この時を生きる俺には似合わないぜ」 
オリヴィエ
「カッコイイ〜でもさあ、結構大事なんじゃな〜い、将来計画。私も将来に備えて資格なんかとっちゃったりしちゃおうかしら〜」
リュミエール 「それは良いお考えです、係長。実は今私も”温泉ソムリエ”の資格をとるべく勉強中なのですよ」
オスカー 「お前マジでトップ獲る気なくなってるだろ」
オリヴィエ 「なになに、その”温泉ソムリエ”ってとるの難しいの?」
リュミエール
「レベルとしてはそれほど高いものではないようですが、困ったことに筆記試験だけではなく実技試験があるのです…」
オスカー 「ナニ! 女教官と一緒に温泉に入れるのか!?」
オリヴィエ 「アンタなに急に話をねじ曲げちゃってくれてんのよ! この国際的エロリスト!」
リュミエール 「確かに私が申し込んだ”温泉ソムリエ認定ツアー”の教官は女の方のようでしたが…」
オリヴィエ 「エーッ!? しかもツアー!?」
オスカー 「ツアーというなら当然冬の味覚ふぐ、カキ、あんこう食べ放題なんだろうな?」
オリヴィエ

「なんなの、その本末転倒なツアー、温泉で美しくなるかいがないでしょう! あーわかった、オスカー、アンタってばいっぱい食べさせて眠らせてギャーッなんてこと考えてんでしょ」
オスカー 「ああ俺のエロリストの血が迸ってきたぜ」
リュミエール 「お二人とも不埒な発言はおやめ下さい。私は本当に真剣に困っているのですから」
オリヴィエ 「ごめーん、リュミちゃん。で何がそんなに困るの、その実技試験で」
オスカー 「わからないのか? リュミエールは裸に自信がないのさ」
リュミエール 「いいえ! その点は断固保証させていただきます」
オリヴィエ 「保証って…」
オスカー 「なんだ違うのか。俺はてっきり実技で温泉に入るのが嫌なんだと…」
リュミエール
「ええ、まあ、当たらずとも遠からじと申しましょうか、問題はこの私の長い美しい髪のことなのです(と髪をかき上げてみせる)」
オリヴィエ 「ウ〜ン『春の小川』くらいさらさらしてる」
リュミエール 「実は私のこの私の髪を束ねるお気に入りのヘアターバンがなかなか見つからず難儀しております」
オリヴィエ 「そりゃ大変。こども110番に電話してみたら?」
リュミエール 「それは思いつきませんでした!」
オスカー 「そんなまどろっこしいことしなくてもこの俺がばっさりと…」
と、のこぎりを肩にかつぐ。
リュミエール 「オスカー様、女の髪には念が宿ることを御存知ないのですか?
 ♪これも念〜あれも念〜たぶん念〜きっと念〜」
オリヴィエ 「あーあ『女』って言っちゃってるし」
オスカー 「おいリュミエール、それ以上念、念言ってると俺の『ネンネ』にしてしまうぜ」
オリヴィエ 「『ネンネ』ってナニ時代よ! アンタなんかふぐ毒で殉職刑事になっておしまい! 」 
オスカー 「そんな死に方をするくらいなら(と、のこぎりを高らかに打ち鳴らし)ノコギリストとしてR-1の舞台で死んだ方がマシだ」
リュミエール 「オスカー様!! まさかのピン芸人宣言なのですか!?」

素材提供:It's just so so

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