ランディ様バースデイ企画
 「夕食会 de 巨大バーガー」


アンジェリーク 「そろそろ夕食会にしませんか?」
オリヴィエ 「今日のメインシェフは誰?」
ランディ 「俺です! シェフってガラじゃないですけど」
オスカー 「確かにな。お前、包丁の使い方知ってたか?」
ランディ 「いくら何でもそれはわかっていますよ、みじん切りだって知ってます」
マルセル 「ランディなんだから、乱切りが得意なんじゃない?」
オリヴィエ 「くだらないこと言ってんじゃないわよっ、ますますお腹すいちゃうでしょ!」
ランディ 「よかった! メニューを『巨大バーガー』にして。8人前あるんです!」
オリヴィエ 「はっ、8人前!!!」
アンジェリーク 「ってことは…私が食べたいのは…つまり…『巨大バーガー』なんですね」
オスカー 「『巨大バーガー』か。全く坊やらしいぜ」
ランディ 「オスカー様、『坊や』はやめて下さい」
マルセル 「そうだよね。これって、おとぎ話によく出てくる、魔族の食べ物だよね」
オリヴィエ 「フーン、で、マルセル、あんたこれ食べたいわけ?」
アンジェリーク 「(あれ? 『食べない』なんて選択肢ないんじゃなかったかしら?)」
   × × ×
オスカー 「とりあえずは、このバーガーを8等分しようじゃないか」
アンジェリーク 「ということは、22、5度ずつ分ければいいってことですね」
オリヴィエ 「アンジェリークったらっ、意外と細かい性格してるんだねえ」
ランディ 「高さがちょうど40pあるはずだから、5pずつの方が分けやすいかも」
マルセル 「エーッ、そんなことしたら玉ねぎだけ食べなきゃいけない人ができちゃうよー」
ランディ 「いいじゃないか、後で交換したら」
オリヴィエ 「あーあ、やってらんない」
アンジェリーク
「(会話が不毛な方向に向かっているわ…話を変えないといけないわね)
 あの、ランディ様…『巨大バーガー』の具は何種類あるんですか?」
オスカー 「お嬢ちゃん、それなら一目瞭然だろ。レタス、オニオン、チーズ、トマト、 ベーコン、それから…おい! ランディ、主役のハンバーグが挟まってないぞ」
ランディ 「そんなバカな!!…すみません…今焼いてる真っ最中でした」
アンジェリーク 「大変、早く取りに行きましょう!」
マルセル 「大丈夫? まさか、もう焦げちゃってたりしてないかなあ」
オリヴィエ 「ま、美容と健康のためにはお肉抜きの方がよかったりするんだけど」
マルセル 「ぼくもだよ。ベーコンもなくたっていいもの」
オスカー 「俺はごめんだぜ。ハンバーグのないバーガーなんぞは」
オリヴィエ 「まるで『恋心をなくしたオスカー』みたいだものねえ」
オスカー 「そういうことだ。まるで価値がない」
アンジェリーク 「…ランディ様、どうやら無事だったみたいですよ。よかったですねえ」
ランディ 「オスカー様のおかげで間に合いました。ありがとうございます」
マルセル 「だけどよくこんなに大きなハンバーグを焼く道具があったねー」
ランディ 「ああ。ゼフェルに特注して作ってもらったんだ」
アンジェリーク 「(まあ、いつも言い合いしていても、お二人は仲良しだったのね)」
オスカー 「中までちゃんと火が通ってるんだろうな?」
マルセル 「さすがはオスカー様、炎の守護聖って感じですよね!」
オスカー 「返す言葉が見当たらないぜ」
   × × ×
アンジェリーク 「デザートはいかが? 『マンゴーシフォンロール』を作ってみたの」
オリヴィエ 「あら手がかかってて美味しそう☆って言いたいところだけど、すぐには入らないでしょ」
ランディ 「それじゃあ、皆でランディ体操でもやってお腹を減らしましょう!」
オスカー 「嫌な予感のする名前が付いてるな」
アンジェリーク 「と、とりあえずどんな体操か見てみましょうか…」
マルセル 「ぼく、大体わかるけど…」
ランディ 「まずは普通にジャンプ、次は縦回転、横回転、3回ひねり!」
オリヴィエ 「普通に具合悪くなるわ!!」
ランディ 「ちょっと難易度が高かったかなあ…」
アンジェリーク 「そうですね。あっまだフリスビーとかの方がいいんじゃないでしょうか?」
オスカー 「お嬢ちゃん、君のけなげさに涙が出てきたぜ」
マルセル 「ねえぼく、さっきから大爆笑してたらデザート食べられそうだよ」
オリヴィエ 「マルセル、私の分もうんとおあがり」
オスカー 「俺の分も食べるがいいさ。俺はまるでマンゴーの色のようなお嬢ちゃんのまぶしい笑顔で十分だからな」
   × × ×
オスカー 「色々あって時間オーバー気味だったが、お嬢ちゃんと一緒に過ごせて、とびっきり素敵な夕食会だったぜ」
アンジェリーク 「(あっこのままだと夕食会が終わってしまうわ。目配せしなくっちゃ!って ランディ様、全然じっとしてないし)」
ランディ 「いいかマルセル、食後はこうして耳をぐりぐりするといいんだぞ」
マルセル 「ランディ、それ犬だけだって!」
オリヴィエ 「(やれやれ。アンジェリークもどうしてあんな天然君がお気に入りなんだか)」
ランディ 「アンジェリーク。この後、少しだけいいかな?」
アンジェリーク 「えっ、ええと…」
ランディ 「別に大した用じゃないんだけど…」
アンジェリーク 「わかりました、お待ちしてます」
ランディ 「ありがとう。俺、すぐに行くから」
   × × ×
ランディ 「こんな夜更けに迷惑だったかな?」
アンジェリーク 「いいえ、来てくださってとっても嬉しいです」
ランディ 「アンジェリーク、すごく美味しかったよ、君が作ったマンゴーのケーキ」
アンジェリーク 「ありがとうございます!」
ランディ 「実を言うと俺、マンゴーって苦手だったんだよ」
アンジェリーク 「そうだったんですか!?」
ランディ
「それがヘンな理由でさ。昔よく飲んでいた咳止めシロップがマンゴー味だったから、どうもイメージが悪かったみたいなんだ」
アンジェリーク 「咳止めシロップ…」
ランディ 「もしかして、俺が風邪をひいて咳き込むなんておかしいって思ってる?」
アンジェリーク 「そんなこと! ランディ様、考えすぎです…」
ランディ 「ごめんごめん。とにかく君のおかげでマンゴーが好きになった気がするんだ」
アンジェリーク 「(私ったら『好き』って言葉にドキドキしちゃってるかも)」
ランディ 「あれ、俺なんか君にヘンなこと言っちゃったかなあ」
アンジェリーク 「ち、違うんです。あ、あの、ランディ様。これから万が一ランディ様が風邪をひかれたら、私がちゃんと看病しますから。ね」
ランディ 「じゃあ俺も約束するよ。君が風邪をひいたら、俺がきっと治してみせるから」
アンジェリーク 「はい、よろしくお願いします!」
(おわり)

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