2009年ルヴァ様お誕生日創作
 「夕食会 de 鯉こく」


アンジェリーク 「そろそろ夕食会にしませんか?」
ジュリアス 「今日は誰が作るのだ?」
ルヴァ 「あー、私なんですよー」
ジュリアス 「チェスの勝負で次に勝ったのはルヴァだったか?」
リュミエール 「ジュリアス様、お言葉ですがチェスをしたのはお二 人だけです」
ゼフェル 「あんなかったりー勝負をオレがやるわけないだろっ」
ジュリアス 「確かにそなたの頭脳には荷が重すぎるであろうな」
ゼフェル 「ぬあんだとおー、もういっぺん…」
ルヴァ 「さあさあ、早く食べないとせっかくの『鯉こく』が冷めてしまいますから!」
アンジェリーク 「ってことは…私が食べたいのは…つまり…『鯉こく』だけなんですね」
ルヴァ 「すみませんねー、鯉こくだけで時間いっぱい使ってしまいましてねー、何せ初めて作ったものですからねー、うんうん」
リュミエール 「よろしいではありませんか。鯉にしたって鯉冥利に尽きるというものです」
ゼフェル 「あん? リュミエール、おめー、魚、食べれんのか?」
ルヴァ 「あー、大丈夫ですよ。リュミエールのお椀にはほぐし身を入れてありますからねー」
リュミエール 「恐れ入ります。私のためにお手数をかけていただきまして」
アンジェリーク 「あのルヴァ様、それじゃ私のお椀には…」
ルヴァ 「それは蓋をあけた時のお楽しみ♪ですよ」
× × ×
ルヴァ 「えー、そもそも鯉料理というものは祝い膳でもあるんですよー」
ジュリアス 「鯉という魚は成長が早く出世、長寿というイメージを抱かせるのが理由であろう」
ゼフェル 「けっ、いちいちめんどくせーなー。めしがまずくなっちまうぜ」
ジュリアス 「ゼフェル、どうやらそなたの辞書には『成長』という文字がないようだ。心身共にな」
アンジェリーク
「(会話が恐ろしい方向に向かっているわ…話をワープさせないといけないわね)
 あの、リュミエール様…近頃はどんな絵をお描きになってるんですか?」
リュミエール 「実は今、故郷の海の絵を描いているのですよ」
ゼフェル 「なんだよ、森の湖の絵はもう描き終わったのかよ?」
リュミエール 「あの絵は下描きです。水の表現を練習していたのですよ」
アンジェリーク 「聖地には海はありませんものね」
ゼフェル 「なんだ、それならオレのエアバイクでいくらでも下界の海に連れてってやるのによお」
ルヴァ 「ゼフェル! ジュリアスの前で何ということを!!」
ジュリアス 「うぐぐぐぐぐ…」
アンジェリーク 「ジュリアス様! 大丈夫ですか?」
リュミエール 「ゼフェル、そろそろ逃げる準備を」
ゼフェル 「やべー、ジュリアスの顔が歌舞伎みたいになってきやがっぜ」
ジュリアス 「うっ、ルヴァ、の、のどに小骨が刺さってとれないのだ…」
ルヴァ 「それは大変です!」
× × ×
アンジェリーク 「デザートはいかが? 梅昆布茶ゼリーを作ってみたの。のどにもやさしいと思いますから」
ジュリアス 「案ずるな。私は光の守護聖だ。自然治癒力は並外れている」
ゼフェル 「サクリアをそんなことに使っていいのかよっ」
ルヴァ 「ゼフェル! 本当に少しは『成長』して下さらないと私の身がほぐれてしまいますよ」
アンジェリーク 「(ルヴァ様ったら鯉こくとかけて上手く言ってるつもりね)」
リュミエール 「そうですよ、私も水のサクリアでわざわざ骨を抜いてさしあげたのですから」
ゼフェル 「(おめーら、サクリア無駄遣い同盟かよ)」
アンジェリーク 「あの、ゼリーのお味はいかがですか?」
ジュリアス 「美味だ。鯉こくとの相性も良い。さすがだな、アンジェリーク」
ゼフェル 「オレも甘くないから好きだぜ」
リュミエール 「私が将来『はなまるマーケット』に出演する時にはこのゼリーをおめざに致しますよ」
ゼフェル 「おめー、どのポジションで出るつもりだよ」
ルヴァ 「そうですねー、守護聖ではやはり不都合ですからサクリア芸人ではいかがです?」
アンジェリーク 「あのう、さっきからずっと気になってたんですけど『サクリア』って何ですか?」
ジュリアス 「うぐぐぐぐ…」
ルヴァ 「ジュリアス!」
リュミエール 「ここは私たちに任せて、とにかくお逃げなさい、アンジェリーク」
× × ×
アンジェリーク 「ジュリアス様、先ほどはすっとこな質問をしてすみませんでした」
ジュリアス 「いや、私の方こそ取り乱してすまなかった」
アンジェリーク 「(なんてお優しいの。お礼に目配せしちゃおうかしら)」
ジュリアス 「?? いかがしたのだ、アンジェリーク、気分でもすぐれぬのか?」
アンジェリーク 「(いけない! さっきのジュリアス様を思い出して目配せが歌舞伎調になってしまったかも)」
ルヴァ 「まあ今夜の夕食会は『サクリア』の勉強会も改めてできたということで有意義でしたねー、うんうん」
アンジェリーク 「(あっこのままだと夕食会が終わってしまうわ。誰かにほほえまなきゃ!)」
ゼフェル 「さ、そろそろ終わろーぜ。腹いっぱいで眠くなっちまった」
アンジェリーク 「ゼフェル様の意地悪! あら私ったら何てあからさまなことを!!」
ジュリアス 「…仕方あるまい。次回はもう少し静かに歓談したいものだな」
リュミエール 「ジュリアス様、今夜は人選にも問題があったかと…」
ゼフェル 「ま、今夜は珍しくジュリアスがジタバタするとこが見られてオレは満足だったぜ」
ジュリアス 「うっ、ゼフェル、他言は許さぬぞ。わかっておろうな…」
ルヴァ 「あー、アンジェリーク。この後、よろしいですか? 少しお話が…」
アンジェリーク 「えっ、ええと…」
ルヴァ 「もしかして私の『少し』が長いって思ってませんか?」
アンジェリーク 「(図星です、ルヴァ様)」
× × ×
ルヴァ 「えー、こんな夜更けにお訪ねしてご迷惑でしたかねー」
アンジェリーク 「いいえ、来てくださってとっても嬉しいです」
ルヴァ 「そう言っていただけて安心しましたよ」
アンジェリーク 「あの…ルヴァ様はこの後も読書したりなさるんですか?」
ルヴァ 「そうですねー、読む前にまず書く、でしょうかねー」
アンジェリーク 「書くとは?」
ルヴァ 「日記ですよ。ほら、今日は特に書くことがいっぱいですからねー、うんうん」
アンジェリーク 「あのー、私のことも書かれるんですか?」
ルヴァ
「さあ、どうしましょうかねー。(何を言ってるのですか、 私の日記は貴女だらけですよ)
 そうですねー、鯉こくの感想などは今後のために書き留めておきたいですかね」
アンジェリーク 「すごく美味しかったです! ルヴァ様のお料理への愛情がすごく感じられて、私も見習わないといけないなあって思いました」
ルヴァ
「…そうですか。(アンジェリークだけ鯉の形をハートにしておいたのですが、どうやらわかってはいただけなかったようですねー??)」

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